2013 Fiscal Year Research-status Report
和算と算額の数学史・文化史的な調査・研究と解法の探求、及びその数学教育への活用
Project/Area Number |
24501064
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
米山 忠興 東洋大学, 文学部, 教授 (00120353)
|
Keywords | 和算 / 算額 / 数学教育 |
Research Abstract |
24年度に引き続いて、研究代表者は、8月に東北、1月に関西、2月に兵庫・岐阜、3月に四国など、各地の算額の実地調査・研究をすすめた。また研究協力者は、8月に石和、11月に塩竃における研究会に参加した。とくに塩竃神社算額や、群馬の算額の未解決問題の解法を探ることを依頼され、それに向かって邁進している。代表者は、おもに問題文・術文の読解などにおいて、アドバイスをした。 その中で、偶然かも知れないが、郡上八幡神社と松山伊佐爾波神社で、現代(昭和・平成)になってから、風化して判読しにくくなった所を書き直したり、上書きした「干支年」が誤っていることを見出した。古い物を書き直したり上書きするときには、当然のことながら、細心の注意が必要であると、改めて感じた。 昨年度に刊行した『和算の解法』を、和算研究者・数学教育に携わる人たちに献呈し、アンケート用紙を同封しておいたところ、多くの方々から反応が寄せられた。それらのうちの、対応できる部分においては、今後早急に対応していくつもりである。 また『續神壁算法』を中心に和算書を調べて、良問を選んでその解法を探究した。その過程で、和算家の「起源」が簡潔で優れていれば、その解法を紹介していく。 さらに特記すべきことは、2014年2月に兵庫県・高砂神社で二枚目の算額を試作し、数学教育・科学教育への活用をはかるために、同神社にわずかばかりの「初穂料」(もちろん、ポケット・マネー)を添えて奉納した。すでに同じ和算研究者たちによって、インターネットにも掲載されているので、数学・科学教育にも資することが期待される。 3月には、東洋大学紀要・自然科学篇に、『和算と算額補遺(2)―正五角形(法眼寺算額)』を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね。予定通りの進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、私自身の東洋大学における最後の年なので、これまでの研究生活の総まとめの年でもある。一昨年からの『和算と算額補遺』をさらに続ける。 平成24年度に出版された和算問題・解答集『和算の解法―美しい幾何の問題を解く楽しみ―』をさらに平易に記述して、広く高校生・大学生・教員に対して、和算幾何の問題・解法の美しさ、おもしろさなどをアピールしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度末に、もう1回の調査出張を計画していたが、本務校の予定とうまく合わなかったので、少し残ってしまった。 2013年度の未使用分は、2014年度分と併せて、有効に活用していきたい。
|