2012 Fiscal Year Research-status Report
立体視アニメーションと電子線制御による時間領域を含む電磁気学3次元可視的教育
Project/Area Number |
24501076
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 悟 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40249777)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 教育 / 電磁界シミュレーション / タブレットPC |
Research Abstract |
高等専門学校・大学の電気電子系の学科において, 電磁気学はその根幹をなす学問でありながら, その修得が非常に困難であるといわれている。その理由は電磁気学では, その基本法則である「マクスウェルの方程式」が電界と磁界との 3 次元的な時間領域の相互作用をともなうために, ニュートンの運動方程式のようにある程度の直感的な理解ができないためである。本課題は,電磁気学の理解を補助する時間領域を考慮した3次元教育システムであり,タブレットPC上で動作する電磁界シミュレーションシステムと電子線制御システムの2つから構成される。 電磁界シミュレーションについては,PC上にてマクスウェル方程式に基づく2次元シミュレーションが行えるようなシステムを構築した。このシステムにより,電波の反射や回折現象のみならず光の屈折現象が可視化できるようになっている。これは単純な光線軌跡解析ではなく,厳密にマクスウェル方程式を解析した結果であり,電波の軌跡のみならず電磁界強度も再現できるものである。このシステムにより,時間領域を考慮した電磁界の挙動が容易に確認できることになり,学生の理解の補助となると考えられる。今後は,実験時に即座にそのシミュレーション結果が確認できるようタブレットPC上で動作するよう移植していく。 電子線制御システムについては,波形発生器からの正弦波や三角波などの信号により変調された電界で,出射電子の軌道を制御できるシステムを開発した。出射電子の軌道は蛍光板により観察できるようになっている。さらに電子線すなわち電流と磁界との相互作用が確認できるよう永久磁石を配置し,ローレンツ力が体験できるようになっている。今後は,磁界についても電磁石による変調を可能とするようにし,学生自らが自由に変調信号を作成し,電界および磁界と荷電粒子との相互作用を,より実体験をともなったものとなるよう改善を図っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元電磁界シミュレーションプログラムをPC上にて開発し,電波の反射や回折現象を確認できるようになっている。また誘電率の異なる材質間での反射率や透過率が定性的に評価できるようになっている。現在,タブレットPC上で動作するようプログラムを移植中である。 クルックス管を用いた電子制御システムについては,波形発生器からの信号により,出射電子の軌道を制御できるようになっている。今後は,Arduino マイコンを用いて,プログラムされた軌道を描くようなシステムを作成する予定である。 両システムともに,概ね当初の予定通り順調に開発が進んでおり,今後授業へ展開する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに開発が完了している電磁界シミュレーションシステムのタブレットPCへの移植を進めていく。タブレットPCの移植にあたっては,メモリの制約とCPU負荷が最も重要な課題である。どちらの課題についても,プログラムのアルゴリズムを見直しを図っていくこととなる。 クルックス管を用いた電子制御システムについては,波形発生器からの信号により電界を変調させ,出射電子の軌道を制御できるようになっている。磁界発生部についても,永久磁石から電磁石へと変更し,変調可能とする予定である。今後は,電界・磁界共に外部変調が可能となるようにする。外部変調は学生自らが自由に変更可能なものとし,電界および磁界と荷電粒子との相互作用を,より実体験をともなったものとなるよう改善を図っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本システムは,まず少人数で行われる学生実験からスタートし,40人程度を対象とした講義へと展開する。そのため,数台のタブレットPCを購入し,学生実験での本システムの効果を見極めながら講義に必要な台数のタブレットPCを導入する予定である。
|