2013 Fiscal Year Research-status Report
ものづくり教育への活用を目的とした簡易プラスチック成形機の開発
Project/Area Number |
24501078
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
尾崎 純一 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70245976)
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Keywords | 工学教育 / ものづくり / プラスチック / 射出成形 |
Research Abstract |
平成25年度は,試作した卓上型射出成形機を用いて成形するための型をできるだけ簡便に製作できる方法を模索した.また,石膏の脆さを改善する方法についても検討を行った.さらに,石膏は水分の混入量,硬化温度により硬化後の特性に違いが出ると言われていることから,これらの硬化条件を変化させ,硬化後の石膏の機械的特性について曲げ試験により調べた.成形実験では,2種類のポリエチレン材料(高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン)の2種類の材料を使って射出成形を行い,成形のしやすさについて比較を行った. 各種実験結果から,曲げ強度は水分の混入量が多いほど低下する傾向が見られ,また硬化工程は低温で行う方が最大で20%程度の強度向上が見られた.しかし,石膏の曲げ強さはいくらかの向上が見られても,脆性の改善はほとんど期待できないことが分かった.このため,石膏を単体で型として用いることは難しいと判断し,ガラス繊維や有機繊維の短繊維を石膏に混入することで脆性の改善を試み,短繊維の有無の影響を曲げ試験により調べた. この実験結果から,短繊維混入は曲げ強度向上および脆性改善にある程度の効果があることが確認された.短繊維混入することにより,石膏単体の場合よりも約4倍の強度向上が図られ,さらに最大曲げ強度に至るまでのたわみ量も大幅に向上し,短繊維混入が石膏の脆性改善には最も効果的であることが確認された. 材料による射出成形のしやすさについては,粘度が低密度ポリエチレンの方が型内に樹脂を充填しやすいことが確認できた.高密度ポリエチレンを用いた場合は,小学生のような子供では樹脂を型内に充填するのは困難であるとの知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は,製作した卓上型射出成形機において,成形は十分行えるようになったと考えている.これにより,公開講座等で活用できるものといえる.しかしながら,成形に必要な型を石膏で製作するプロセスがまだ十分に確立できていない.その理由は石膏が脆く良好な型の製作および製作プロセスがまだ実現していないためである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,まずデモンストレーション等に用いることができる金属型を製作する予定である.そして,昨年度から取り組んでいる成形に用いる石膏型の製作プロセスを確立したいと考えている.また,平成26年度は助成の最終年度であるため,公開講座等で実施できるプラスチック成形の体験プログラムを考案し,実施したいと考えている.できれば,夏以降に実施される本校のイベントで成形を体験できるようにしたい. さらに,これまでに2台の射出成形機を製作してきたが,まだ改善すべき点がいくつか見られる.その一つが,小型軽量化であり,持ち運びを可能とするにはより軽量にしたいところである.そこで,これまでのノウハウを生かし,現在の成形機から約40%の軽量化を目指し,質量10kg前後に軽量化した成形機の製作も行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた支出と比較して,研究協力者の旅費支出は大幅に超過してしまったが,その代わりに,予定していた人件費・謝金の支出がなかったため,差引額としてプラスとなった. 平成26年度は,軽量化した成形機の製作するための材料およびヒーター等の部品を購入する予定である.また,石膏の脆性改善のための有機繊維の購入や金型製作のため材料費に充てる予定である.さらに,本研究で得られた成果を発表するため,学会に参加するための旅費も計上している.
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