2014 Fiscal Year Annual Research Report
形態学の知識が無くても使える生物検索システムの開発
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24501081
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
斎木 健一 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員 (40250055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 史 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (30293004)
林 延哉 茨城大学, 教育学部, 准教授 (60282274)
天野 誠 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員 (70250149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 野草 / 野外観察 / ウェブサイト / 図鑑 / 小学校 / 中学校 / 理科 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物を同定する技能は、教育、農業、自然保護など多様な分野で必要とされているが、そこで働く人々の多くは植物形態学の知識を学んでいない。しかし、植物の名前を調べるための道具として用いられてきた検索図鑑や検索プログラムは植物形態に関する知識を必要とするものばかりであった。本研究では、植物形態学の基礎知識がない人々でも植物の同定が可能なプログラムの開発をおこなった。最初に作成した仮のプログラムを用いて、大学生などを対象にテストを行ったところ、同定のための形質では、私どもの研究ですでに明らかになっていた、相同でない部分を相同と誤認してしまうこと、すなわち小葉を葉と間違ってしまうことのほか、花のそばにだけ見られる形の葉を一般的な形の葉と誤認してしまうこと、花の色を図鑑などで広く記されている色とは異なる色に解釈してしまうこと、などの例が、数多く確認された。 こうした間違いを利用者がおこしても、最終的に正しい結果にたどり着くようにするためには、多くの人が誤認する部分については誤りであっても正解とする必要がある。たとえば、ヨモギの葉の形は切れ込みの深い単葉もしくは複葉だが、花序のそばの葉だけは線状であり、これを観察したため、線状と認識する被験者が多かった。また、多くの図鑑でピンクと記されているホトケノザの花色については青~紫を洗濯する被験者が多かった。こうした誤りをプログラムに取り込むことによりプログラムの同定精度の向上をめざした。なお、たとえば総包であるドクダミの白い花弁状の部分を花弁と誤認して花色を白としてしまうような、植物学的に明らかな誤りの場合は、プログラム上は正解として扱うが、末尾に表示される形質の一覧表では、植物学的には誤りであることを明示した。 完成したプログラムはhttp://chiba-muse.jp/wf2014/で公開されており、誰にでも使用可能となっている。
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