2012 Fiscal Year Research-status Report
天体分野学習の新時代:悪天時の観察もネットツールでwel-CAM!
Project/Area Number |
24501082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
佐藤 毅彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (10297632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 一郎 島根大学, 教育学部, 准教授 (30335541)
石井 雅幸 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (50453494)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 天体分野学習 / 小学校 / 中学校 / 月と太陽 / ネットツール |
Research Abstract |
小学校理科「月の満ち欠け」学習で観察機会を増やすため、インターネット上のツールを提供することを目標に、Wel-CAM開発を行った。光学22倍ズームCCDカメラの遠隔操作機能を調査しインターフェイスを作成。ウェブブラウザを経由してカメラのズーム、露出時間、コントラストを操作することに成功した。カメラ架台の駆動部にはサーボモータを採用し、月の自動追尾機能を実現している。従来の星座カメラでは屋外設置ケース中に(熱に弱い)PCを入れていたため、昼間に使うWel-CAMを同方式にした場合、環境による劣化が心配された。そこで屋外ケース中にはカメラ、架台は入れるものの、PCは数十メートル単位で離れた屋内に置く方法を検討した。中間をイーサネットケーブルで置き換える「USBエクステンダ」を採用することで、この方式を実現できるようになった。また、太陽の光っている方位と月カメラの向いている方位の「相対的な位置関係」を示すため、オイル中で自由に回転するボールコンパスを別カメラで撮影する方法について検討した。25年度にはこれら開発済みパーツを屋外ケースに収めたものを複数サイトに設置し、小学校理科の授業実践を開始する。 参加メンバーによる打合せ会合を5月、11月、12月、2月に各一回ずつ実施した。小学校での授業実践は7月・11月(西宮市立上ヶ原南小)、10月(富山市立浜黒崎小、千代田区立富士見小)、11月(港区白金小)、12月(札幌市立新琴似緑小、新陽小、倶知安小)に各学校で一回ずつ、メンバーまたは連携教員が実施。熊本市立龍田小では10月に二回、千代田区立九段小学校では7月に三回(臨海学校含む)、9月に二回、2月に二回の授業を実施した。 「月の満ち欠け」に関する教員研修は、8月6日(東京都小学校理科部会)、25年1月26日(岩国市教育センター)で実施。後者は読売新聞岩国版に記事が掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、24年度は「Wel-CAM開発の年」と位置づけている。「研究実績の概要」で述べたとおり、主要パーツや操作インターフェイスの基本はそろい、次のステップでは実際に屋外設置ケース中に組み込んで各サイトへ設置・運用ができるところまできている。これらのことから、開発に関しては順調に進展していると評価できる。 また、教育カリキュラムの検討についても、メンバー間で密に打合せを行っている上、各地の小学校で「月の満ち欠け」実践を行いながら現場教員との意見交換も進めている。さらに教員研修の機会も2度もち、そのうち岩国のものは「効果的な取り組み」として読売新聞岩国版に取り上げられている。これらのことから、教育カリキュラムの検討や普及に関しても、順調に作業を進めていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度にはWel-CAMのインテグレーションを行い、各サイトに設置する。研究提案時には東北エリアは仙台市天文台の協力を仰ぐ予定であったが、担当の職員が退職してしまった。それを埋め合わせることができ、かつ科学教育に熱意・知識を有する上田晴彦氏(秋田大学)を研究分担者として迎え入れた。したがって、東北エリアは秋田大学にWel-CAMを設置することが可能で、エリアが欠けることはない。 年度の前半で設置を完了し、後半は実際の小学校理科授業で活用する段階に入る。24年度にも8小学校で授業実践をする機会をもったが、25年度も同程度の数の学校で授業実践を行う予定である。それらを通じて、この新しいツールの使い勝手、子どもたちの受け止め方などを評価し、改善点を明確にする。年度末までにはそうした改善を施し、26年度の授業実践と研究まとめへと進めてゆく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)