2013 Fiscal Year Research-status Report
心的切断テストによる大学入学時の学生の空間認識力に関する研究
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24501083
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
鈴木 賢次郎 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (60012506)
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Keywords | 切断面実形視テスト / 空間認識力 / 空間幾何学教育 / ゆとり教育 |
Research Abstract |
2013年度に、東京大学教養学部において、理科I類(主として、理・工学部に進学)の1年生を対象に、図形科学Iのガイダンス時(10月初旬)に、心的切断テスト(Mental Cutting Test: 25題の問題からなり、1題正答1点、誤答0点として採点、満点25点/以下、MCTと略記)を実施した。この結果を、準備研究として、同じく東京大学教養学部理科I類の学生に対して、2009~2011年度に実施してきたMCTデータ及び2012年度の結果とあわせて分析した。なお、先行研究により大学生のMCT得点には男女差(男子得点>女子得点)があることが明らかなこと、また、被験者が統計的検定に耐えうる数だけ得る必要があることから、分析は数の多い男子学生を中心に行った。2009~2013年度における男子被験者のMCT平均得点(標準偏差、被験者数)は、それぞれ、21.7点(2.6、74)、20.9点(3.5、233)、20.7点(2.9、110)、21.1点(2.9、90)、及び、21.8(2.7、180)であり、この5年間の平均得点は21.2点であった。これらの学生の多くは1998/1999年度の教育指導要領改定により、小学校から、それ以前に比べて図的表現法や空間幾何学に関しても教育内容・教育時間が大幅に削減されたカリキュラム(以降、この改定に基づいた教育を「ゆとり教育」と呼ぶ)による教育を受けた学生である。これを筆者らによる先行研究の結果、すなわち、中・高校から「ゆとり教育」を受けた学生(2006~2008年度)の平均得点21.2点、および、小~高校において「ゆとり教育」以前の教育を受けた学生(2003~2005年度)の平均得点20.6点を比較分析すると、3者間に有意差は見られず、「ゆとり教育」の実施によるMCT得点の減少は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高学力の大学生(東京大学)を対象とした調査は計画通りに進展している。一方、中程度の学力の大学生(日本大学)を対象とした調査については予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に、引き続きMCTを実施し、データを追加する。MCTの実施方法は平成24、25年度と同様な方法を予定している。 先行研究の調査結果(東京大学:1988~2008年度/日本大学:2004~2006年度)、及び、準備研究を含めた本研究による調査結果(東京大学:2009~2014年度/日本大学:2014年度)を併せて、MCT平均得点の経年変化について、特に、ゆとり教育を受けた学生が入学してくる年度前後(中・高校:2006年度/小学校:2009年度)における得点変化に着目して分析する。さらに、本研究の関連研究として、2011年度から実施している、現在の小~高校生を対象としたMCT調査結果も併せて分析し、1998/1999年度のゆとり教育を目指した教育指導要領改訂による小~高校における図的表現法及び空間幾何学教育の内容・教育時間の削減が、大学生の入学時における空間認識力に及ぼした影響を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、当該助成金で支払いを予定していた学術誌(CADDM)の支払い請求が遅れ、別予算で支払っため、予算に残額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせて物品費(消耗品費)として使用する。
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Research Products
(4 results)