2014 Fiscal Year Annual Research Report
心的切断テストによる大学入学時の学生の空間認識力に関する研究
Project/Area Number |
24501083
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
鈴木 賢次郎 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (60012506)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 図学 / 空間幾何学教育 / 空間認識力 / ゆとり教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京大学において、理科Ⅰ類1年次生を対象に、2003-2014年度に渡り、MCT(切断面実形視テスト)を実施し、大学入学時における学生の空間認識力の経年変化を分析した。小-高校でゆとり教育以前の教育を受けた学生(2003-2005年度入学)、中・高校でゆとり教育を受けた学生(2006-2008年度入学)、小・中・高校でゆとり教育を受けた学生(2009-2014年度入学)のMCT平均得点を比較した結果、3者間に有意差は見られず、ゆとり教育の実施による空間認識力の低下は認められなかった。一方、日本大学生産工学部の1年次生を対象に実施した調査結果によれば、中・高校でゆとり教育を受けた学生(2006年度入学)のMCT平均得点は、小-高校でゆとり教育以前の教育を受けた学生(2004、2005年度入学)に比べ、有意に低下していた。ゆとり教育においては、空間図形に関わる教育内容が削減され、また、指導要領の位置づけが「最低基準」へと変更され、余裕のある場合には、範囲を超えた内容を教えられるようなった。上述の調査結果は、ゆとり教育の実施により、高校までの学校間における空間図形教育の格差が助長され、中程度の学力を有する日本大学の入学生においては、高学力の東京大学の入学生に比して、空間認識力が低下した結果によるものと考えられる。 また、日本、及び、中国において、小-高校生を対象に実施したMCT調査結果を取りまとめた。この調査において、学年令増加に伴い、大きな得点増加がみられたのは、日本においては中学校1年生であり、一方、中国では中学3年生であった。この時期は、それぞれの国で空間図形教育が重点的に実施される時期に一致する。この結果は、小-高校における空間図形教育が空間認識力の育成に効果があることを示している。 さらに、上述の研究成果を踏まえ、大学における今日の図学教育の在り方に関する考察を行った。
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Research Products
(5 results)