2012 Fiscal Year Research-status Report
理科教師の学びと成長のプロセスに即した「省察的実践力」の開発に関する研究
Project/Area Number |
24501102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 敬人 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40284145)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教師教育 / 理科教師 / 省察 / 省察的実践力 / 教員養成 |
Research Abstract |
理科教師としての生涯的な学びと成長の過程における「省察的実践力」の獲得・向上の実態や課題等を分析・考察するとともに,より高いレベルの「省察的実践力」を開発していくための教師教育の方策について示唆を得ることを目的として,4年計画の第1年目である平成24年度は, 国内外の文献や資料などをもとに教師の「省察的実践力」に関する先行研究の成果や課題等を把握した。また,教員養成課程で学ぶ学生を対象に,小学校理科の指導法に関する講義において学生が模擬授業を構想・実践する場を設定し,そこで彼らが構想し実践した授業をビデオカメラ及びフィールド・ノートにより記録するとともに,実践した授業の省察に関するデータを収集した。さらに,現職の初心期から中堅期の教師を対象として,理科の授業実践を観察し,ビデオカメラ及びフィールド・ノートにより記録するとともに,「省察的実践力」の獲得・形成の要因や契機などを分析するために,観察した理科授業実践等に関するインタビュー調査を実施した。 上記のうち,現職教師を対象とした調査については本年度はデータの収集・蓄積・整理が中心であったが,教員養成段階の学生を対象とした調査については,省察に関わるデータの一部を分析し考察した。その結果,複数の学生が理科授業実践について協働的に振り返りを行うことが「省察的実践力」を支える教師知識の質的向上を図る方策として効果的であることが示唆されるとともに,教員養成課程で学ぶ学生は教授方法を中心に省察する一方で,理科の教材の視点から省察する学生が少ない傾向にあるという課題が指摘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は教員養成課程で学ぶ学生と現職教師を対象とした調査を中心としたものであり,前者の教員養成課程で学ぶ学生を対象とした研究については,小学校理科の指導法に関する授業での調査の実施やデータ収集・分析など,ほぼ順調に進行してきている。一方,現職教師を対象とした研究については,調査対象として予定していた現職教師の校務上の都合や研究者自身の調査のための時間確保の困難さなどにより,年度当初計画していた調査の一部を実施できなかった。その結果,現職教師に関する調査データの収集が当初の予定より少なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.教員養成課程で学ぶ学生を対象とした調査については,平成24年度の同様に,小学校理科の指導法に関する講義において学生が模擬授業を構想・実践する場を設定し,そこで彼らが構想し実践した授業をビデオカメラ及びフィールド・ノートにより記録するとともに,実践した授業の省察に関するデータを収集する。加えて,平成24年度の調査データに関する分析・考察を踏まえ,学生の「省察的実践力」の形成のための改善策を盛り込んだ講義等を実施し,養成段階における彼らの「省察的実践力」の形成の可能性と課題をさらに分析・考察する。 2.現職教師に関する調査については,平成24年度と同様に,理科の授業実践の観察と記録,及びインタビュー調査をさらに多数の教師を対象として実施し,データの収集・整理・分析を行う。そして,「省察的実践力」の具体像及び「省察的実践力」の獲得・形成の実態と課題を,教師の成長や学びの実態及び教員研修プログラム等と関連付けながら解明していくためのデータや知見を蓄積する。その際,調査対象の教師を新たに追加するだけでなく,平成24年度に調査対象とした教師については,本研究の最終年度に至るまでの間,可能な限り追跡的な調査を行う。なお,平成24年度に学生であった者のうち教員に採用された者についても,可能な限り追跡的な調査の対象とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,現職教師を対象とした調査のうちの一部に実施できなかったものがあった。そのため,調査旅費や調査データの文字化・整理のためのアルバイト謝金などを計画通りに執行できず,研究費の一部に未使用金が生じることとなった。平成25年度においては,平成24年度に実施できかなかった調査を含め円滑に研究を実施できるように研究計画を調整するとともに,この未使用金は平成25年度の研究費の中に組み込み,調査旅費や調査データの文字化・整理のためのアルバイト謝金,必要な消耗品の購入費などとして使用する計画である。
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Research Products
(6 results)