2013 Fiscal Year Research-status Report
理科教師の学びと成長のプロセスに即した「省察的実践力」の開発に関する研究
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24501102
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 敬人 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40284145)
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Keywords | 教師教育 / 理科教師 / 省察 / 省察的実践力 / 教員養成 / 現職教師 / 模擬授業 |
Research Abstract |
理科教師としての生涯的な学びと成長の過程における「省察的実践力」の獲得・向上の実態や課題等を分析・考察するとともに、より高いレベルの「省察的実践力」を開発していくための教師教育の方策について示唆を得ることを目的として、4年計画の第2年次である平成25年度は、「省察的実践力」の形成に関する前年度の研究成果や課題等を踏まえつつ、教員養成課程で学ぶ学生を対象とした調査と、現職教師を対象とした調査を前年度に引き続き実施した。 まず、教員養成課程で学ぶ学生を対象とした調査については、学生が小学校理科の模擬授業を構想・実践し省察する内容と方法により、小学校理科の指導法に関する講義を実施し、彼らの省察力の形成に関するデータ収集を行った。また、前年度に収集したデータについて分析・考察を深め、上記の内容・方法で模擬授業を中心とした講義を行うことが、授業改善も含めた学生の授業力量の形成にとってどのような成果と課題があるのかを論文として発表した。 また、現職教師を対象とした調査については、前年度に引き続き、初心期から中堅期の教師を対象として、理科の授業実践を観察し、ビデオカメラ及びフィールドノートにより記録するとともに、「省察的実践力」の獲得・形成の要因や契機等を分析するために、観察した理科授業実践等に関するインタビュー調査を実施し、データの蓄積と整理を行った。そして,本研究で収集した調査データ及び本研究に関連した過去10年間の調査データを総合して分析・考察し、教師の理科授業の力量形成に関する研究成果の一部を学会で口頭発表した。さらに、中堅教師を対象として、その教師自身の過去の理科授業実践のビデオ記録を視聴しながらその授業実践について省察する方法で調査を実施し、「省察的実践力」の形成に関する有用な調査データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教員養成課程で学ぶ学生を対象とした調査については、ほぼ順調にデータの収集や分析・考察が進展してきている。現職教師を対象とした調査のうち、同一の教師を対象とした継続的調査は先方の校務上の都合等により調査実施日の確保が難しく、データの収集と蓄積が予定通りに進んでいない面が一部あるものの、過去の理科授業実践のビデオ記録を活用した省察の方法を調査に導入することにより、省察的実践に関する有用なデータを収集できる見通しを持つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
教員養成課程で学ぶ学生を対象とした調査については、過去2年間に引き続き、学生が小学校理科の模擬授業を構想・実践し省察する内容と方法により、小学校理科の指導法に関する講義を実施し、彼らの「省察的実践力」の形成に関するデータ収集を行う。その際、養成段階における「省察的実践力」をより一層開発するための改善策を盛り込み、その成果と課題について検討する。 また、現職教師を対象とした調査についても、過去2年間に引き続き、理科の授業実践の観察と記録、及びインタビュー調査を実施するとともに、過去の理科授業実践のビデオ記録を活用した省察による調査も実施し、「省察的実践力」の獲得・形成の実態及び課題を解明するためのデータの収集・整理・分析を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現職教師を対象とした調査を複数回予定していたが、先方の公務上の都合等により、予定していた調査の一部を年度内に実施できなくなった。そのため、調査旅費、及び調査データ処理に係わる謝金の支出予定が変更となり、次年度に使用せざるを得なくなった。 本年度実施できなかった調査は、日程調整や調査方法を工夫するなどして次年度に実施し、そのための調査旅費、及び調査データ処理に係わる謝金として、次年度中に使用する。
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