2012 Fiscal Year Research-status Report
小学校・中学校理科授業構成への大学による生物教材支援基盤の確立とその有効性の検証
Project/Area Number |
24501104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
西野 秀昭 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40198487)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 観察・実験 / 生物教材 / 小学校 / 中学校 / 理科授業 / 支援 |
Research Abstract |
小・中学校の理科・生物分野の授業では,生物教材の実際的な観察・実験を通じて,子ども達が自ら立てた仮説を科学的に検証ができ,生命尊重の考えを持て,自然のしくみ理解へ通じるように構成されていることが大切である。そこで,小・中学校の教師が観察・実験への生物教材の導入に困難を感じている現実に対応するため,生物教材の支援基盤を大学に確立できることを実証することを本研究の目的とした。そのため,生物教材を授業へ導入しやすい体制を整え,地域の小学校・中学校への実質的な支援をもって観察・実験の実施を促し,その効果を検証する事で大学による支援効果を定量的に認識・確立し,地域教育貢献者としての大学の新たな役割を明確にできる先進的モデル研究を目指した。 次のように,生物教材利用の実態調査と援助基盤の土台作りを行った。 (1)生物教材の授業への導入の実態調査:生物教材の支援が必要な教師へのアンケート調査(質問紙)や面談によって,飼育栽培・繁殖や授業への導入が難しい生物教材及びその理由を単元別に調査した。その結果を基に,生物教材や観察・実験を実施する際の問題点を明らかにした。 (2)観察・実験における生物教材の問題点の把握から改善・支援体制の準備:教科書の観察・実験の問題点を把握・改善し,学校で観察・実験を実施する際の成功率を上げるため,生物教材や実験方法を検討した。問題点把握を行った観察・実験の一覧表と,実施のコツをまとめた具体的なプロトコールを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケートの収集に手間取ったが,教員研修や免許更新講習なども活用してなんとか生物教材や観察・実験の問題点を集めることができた。生物教材や観察・実験の改善や工夫は順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
支援が必要な小学校・中学校への支援の効果と検証:準備した支援体制を,まず地域を中心に適用し,授業へ導入した際の利点や欠点・教師や子ども達の意見など収集し,見やすくデータ化して最終年度へ向けたパイロット研究とする。 (1)予備的な生物教材・教材研究の支援,場の提供および出張指導: 近郊の小・中学校及び,生物教材の支援が直ぐに必要な学校に,生物教材の支援が必要な月日の打ち合わせを行なう。生物教材の予備的な教材研究の場として本研究代表者の研究室での観察・実験の実施確認の援助を可能にし,本研究代表者が当該学校へ出張し,生物教材の教材研究を指導する体制があることを教育委員会及び学校と確認しておく。即ち生物教材の提供だけではなく,細やかに教材研究を可能とする体制とともに,教材研究に関わる器具や薬品をも貸与し,教材研究を教師自らが体験できる体制を提示する。これは,将来的に教師自身で生物教材を使った観察・実験の授業を成立させる能力を涵養するためのステップであり,かつ「理科の教材や指導法で困った時にサポートしてくれる場が学校外にない教員が約5割」という実態への対策とともに,「優れた教材情報」や「身近にサポートしてくれる場の設置や充実」を望む声へ適切に答えたものとする。 (2)生物教材の支援体制への事後アンケートと最終年度へのパイロット研究結果の反映: 生物教材の支援を行なった学校からは,単元ごとに事後アンケート(4件法及び自由記述)をとり,アンケートを回収する度に年度終わりまで,結果を順次整理して支援体制の改善を図るとともに,完成年度での本格的な支援体制の実施のため,効果検証の小モデルとして実態調査を反映し,次年度で生物教材の支援を実施する予定の学校を具体化し,支援計画に基づいた生物教材の準備を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の支出をできるだけ効率よくするため安価な消耗品等を購入したこと,及び補助者の雇用もできるだけ少なくしたことから当該研究費が発生した。次年度においては,当該研究費は学校支援を強化するための経費として物品費などの購入に使用する予定である。
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