2012 Fiscal Year Research-status Report
人間生活の視点に立った化学実験教材の開発・身近な製品におけるエステルの検出と識別
Project/Area Number |
24501109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
井上 正之 東京理科大学, 理学部, 准教授 (00453845)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エステルの検出 / ヒドロキサム酸鉄(III)法 / 陽イオン界面活性剤 |
Research Abstract |
当初の研究計画による平成24年度の目標のうち,陽イオン界面活性剤臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム(TDTMA-Br)を触媒として用いるヒドロキサム酸鉄(III)法における「エステルの構造による検出の限界の調査」と,本法による「身近な製品におけるエステルの検出」では,概ね予定通りの成果が出ており,学校教員や一般市民を対象とする実験講座などで実施し,普及活動を行った。また「エステルの構造異性体の識別」については,現時点で一定の目処が立った段階であるが,次年度には当初の目的が達成できる見込みである。なお構造異性体の識別実験では,陽イオン界面活性剤を用いない方が良好な結果が得られている。 主に次年度に検討を行う予定であった,「脂肪酸組成に基づく油脂の識別法」については予想以上に研究が進捗した。平均分子量が異なるヤシ油,ナタネ油と両者のエステル交換によって製造されている中鎖脂肪酸含有油脂とを,TDTMA-Brを触媒とするヒドロキサム酸鉄(III)法による呈色の相違によって識別することができた。また本条件では呈色が現れないナタネ油などの平均分子量が800を越える油脂については,より親油性の大きい陽イオン界面活性剤である塩化テトラデシルジメチルアンモニウムを触媒に用いることで,ヒドロキサム酸鉄(III)法による呈色が観察できることが見出され,油脂中のエステル結合の検出に一般的に適用できる反応条件が確立された。以上の内容について,日本化学会「化学と教育」誌に論文投稿を行った。 また次年度に検討を行う予定であったポリエステル系プラスチックの識別実験についても,基礎的な検討が進んでおり,ポリエチレンテレフタラートとポリ乳酸において,ヒドロキサム酸鉄(III)法による呈色が観察できることが見出されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にあげた「エステルの構造異性体の識別」の検討には,やや遅れが見られるものの,次年度に完成予定であった「平均分子量の相違による油脂の識別」が大きく進捗し,論文投稿ができている(審査の結果,掲載決定)。また「ポリエステル系プラスチックの識別」においても,基礎的な検討が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度からの継続課題である「エステルの構造異性体の識別」を完成させ,論文投稿を行う。現在のところペンタン酸メチルをはじめとする飽和C5カルボン酸メチルエステルに関する反応別条件は概ね確立しているので,もう1つのターゲットである酢酸ブチルをはじめとする飽和C4アルコールの酢酸エステルについて,反応条件をチューニングして実験教材として確立させる。併せて,フタル酸エステルのオルト,メタ,パラ異性体の識別も検討する。 当初計画における平成25年度のもう1つの課題である「エステルを含むプラスチックの識別」については,24年度中の検討でポリエチレンテレフタラートとポリ乳酸について,市販品として使われている容器素材を使ってヒドロキサム酸鉄(III)法による呈色が現れることが見出されている。25年度には,両者の色調の相違の原因を調べた上で,生分解性ポリエステルの性質を理解させる実験教材を確立させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)