2013 Fiscal Year Research-status Report
人間生活の視点に立った化学実験教材の開発・身近な製品におけるエステルの検出と識別
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24501109
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
井上 正之 東京理科大学, 理学部, 教授 (00453845)
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Keywords | エステルの検出 / ヒドロキサム酸鉄(III)法 / 陽イオン界面活性剤 |
Research Abstract |
当初の研究計画における平成25年度までの目標のうち,第四級アンモニウム塩型陽イオン界面活性剤を触媒として用いる油脂の識別については,既に論文発表が完了している。 またPETおよびPLA(ポリ乳酸)を含むポリエステル系プラスチックの識別については,具体的な実験条件の検討が完了し,現在,理論的な最終検討を行う段階に到達している。期待したとおり,生分解性プラスチックであるPLAは高い反応性を示し,呈色反応における色調の相違によって非生分解性プラスチックであるPETとの相違を観察することができた。また昨年度購入したマイクロウェーブ反応装置を使った検討では,マイクロ波によるエステルからアミドへの誘導反応の加速効果を示唆する結果が得られた。これらの成果をまとめ,本年度の前期中に論文投稿が行える見通しが立った。また,既にこの判別法を含むポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,PET,PLAの識別実験のマニュアルが確立しており,学校現場における実践でも期待通りの成果が得られている。 同様に,エステルの構造異性体の識別(酢酸ブチル異性体群およびペンタン酸メチル異性体群)についても,具体的な実験条件が確立しており,理論的な詰めを行っている。予期したとおり,実験者にエステル結合近辺の立体的な構造について考察させることができる実験教材が実現できたと考えている。この研究についても,早い時期に論文投稿を行う見通しが立っている。 進捗が遅れているのは,合成繊維の識別実験の検討である。現在は,入手しやすい繊維サンプルの選定の段階であるが,本質的な反応はプラスチックの識別と同じであるので,反応条件の設定は,円滑に行えると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度中の論文投稿はできなかったが,プラスチックの識別とエステルの構造異性体の識別については,実用的な実験教材とすることができた。特にプラスチックの識別については,学校現場を含む実践を行い,予期した教育的効果が達成できたことを示すアンケート結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
プラスチックの識別とエステルの構造異性体の識別における理論的な検討を早期に完結させ,論文投稿を行う。繊維の識別については,ポリマーの主鎖にエステル結合を含む適切なサンプルが見出されていないので,鋭意探索を継続する。また,手術用の生分解性繊維をサンプルに加え,プラスチックの場合と同様な識別が行えるか否かを検討に加える。
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Research Products
(3 results)