2013 Fiscal Year Research-status Report
流体力学に関する誤情報の拡散とその防止法に関する研究
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24501111
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
石綿 良三 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (00159790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 陽一 神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (50210349)
根本 光正 神奈川工科大学, 工学部, 助教 (90085134)
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Keywords | 科学教育 / 流体力学 / 流れ / 科学入門書 / 科学実験 / ベルヌーイの定理 / 原理の誤認識 |
Research Abstract |
2009年以降に発行された一般向けの科学入門書118冊について、流体力学に関連した現象や実験の原理が誤認識されていないかを調査した。それよりも過去に調査した90冊と合わせて調査結果を分析、考察した。依然として流体力学の原理の誤認識は広く拡散している。ただし、明らかな原理的な誤認識の割合は以前よりも減少傾向が見られた。間違いが多く見られる「翼の原理」などの掲載率が減り、もともと間違いが少なかった現象の掲載率が高くなったことがその原因の第一要因であり、明確に誤認識が減少しているとは言えない状況であった。 著者間における誤認識の伝達・拡散の原因について考察した。最大の根本的原因は著者の理解不足、知識不足であることを以前から推定している点は今も変わっていない。さらに、今年度の調査・分析から、低年齢層(小学生くらい)向けの書籍において著者が説明を平易にすることから原理の説明が不足したり、誤解を招きやすくなり、それを読む教員や科学ボランティアらが誤認識するという構図もみられた。 成果の公開・普及については、学会講演会での口頭発表2回、理科教員等の研修会2回、小中高校生対象の理科教室・模擬授業10数回、日本機械学会ホームページにおける実験動画公開21件、科学イベント開催1回(日本機械学会「流れのふしぎ展」)を行った。これらは研究成果の普及の場であると同時に、小中高校生や一般市民がどのように理解・誤解するのかを調査する場としても活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般向け科学入門書および物理教科書における原理の誤認識に関する調査はおよそ400冊となり、全体の傾向、時代の推移、各現象ごとの状況はおおむね把握できてきた。 ただし、間違いの伝達の原因については多岐におよび推論の域を出ていない。平成26年度にその検証を行っていくことが必要である。 一方、成果の公開においては、明確な誤認識と正しい説明を日本機械学会ホームページ上で「楽しい流れの実験教室」と題して公開しており、平成25年度は約3万アクセスがあり、効果が現れつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度であり、これまでの成果をまとめる。原理の誤認識の伝達・拡散のメカニズムについては大略的には推定されつつあるが、さらに書籍の分析を行い、推論の検証を行う。具体的には、最新の書籍の状況と入手が困難な年代の古い書籍(50年以上前)のデータを可能な限り入手・分析する。 インターネット上の情報では書籍以上に不確かな情報が錯そうしており、膨大なデータが時々刻々変化しながら流布されている。全体像の把握は困難であるが、インターネット固有の誤情報の伝達メカニズムについて考察を進めたい。 流体力学の専門家や理科教員との情報交換やディスカッションの場も作り、さらに考察を深化させたい。さらに、成果の公表・普及のため、学会発表、学会ホームページの活用、科学イベントの開催、理科教室の実施などを図る。
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Research Products
(11 results)