2013 Fiscal Year Research-status Report
二次的な自然環境におけるCO2濃度客観評価による環境教育プログラムの開発
Project/Area Number |
24501115
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
岡村 聖 名古屋産業大学, 環境情報学部, 准教授 (80314087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 健太郎 名古屋産業大学, 環境情報学部, 准教授 (00598386)
伊藤 雅一 名古屋産業大学, 環境情報学部, 教授 (60340387)
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Keywords | CO2 / 二酸化炭素 / 環境教育プログラム / 里山 / 二次的な自然環境 / 体験学習 |
Research Abstract |
本研究は里山の様な二次的な自然環境の変化を、CO2濃度を指標として客観評価するための環境教育プログラムの開発と評価を行うことを目的としている。成果の具体的内容は以下の通りであり、成果の一部は名古屋産業大学環境経営研究所年報第13号等に掲載された。 ①演習林等によるCO2濃度測定のための授業計画の策定と実践:研究協力校(三重県立久居農林高校、岐阜県立岐阜農林高校、岐阜県立加茂農林高校等)において、研究目的を念頭に一年を通じた研究授業計画を具体化し、実践した。研究協力校の岐阜農林高校はスーパーサイエンスハイスクール指定校であり、国際性を育てる教育にも力を入れている。そこで高校と台湾苗栗県の育達科技大學が本研究のテーマにそれぞれ取り組むと共に、お互いの研究成果を元に交流学習を行うための支援体制を整えた。 ②CO2濃度データとその他の要因の比較による二次的な自然環境変化の考察と成果発表:研究協力校は短期的な時間変動が少ない二次的な自然環境を構成する要因との比較を通して、その濃度変化の理由を考察した。申請者らはそれぞれの専門分野の知見に基づいてフィードバックを行った。研究協力校は学内発表会や日本学校農業クラブ全国大会東海大会で研究成果の発表を行った。台湾育達大学において平成25年11月27日に開催された環境教育に関する国際フォーラムにおいて、研究協力校の久居農林高校と岐阜農林高校がWEB会議システムを利用して研究成果の発表を行った。苗栗県小・中学校科学コンテストで研究協力校の台湾新英小学校が銀賞を受賞した。 ③連携授業参加者へのヒアリングによる環境教育プログラムの評価:環境保全のような効果に多くの時間を要する取組みに対して、短期間の体験でもその変化を実感し意欲的に取組むことができる人材育成プログラムとしての観点から、授業参加者に対してヒアリングを実施し、今年度の研究授業を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は里山の様な二次的な自然環境の変化を、CO2濃度を指標として客観評価するための環境教育プログラムの開発と評価を行うことを目的としている。そのために、①研究協力校の演習林等によるCO2濃度測定のための授業計画の策定と実践、②CO2濃度データとその他の要因の比較による二次的な自然環境変化の考察と成果発表、③連携授業参加者へのヒアリングによる環境教育プログラムの評価、の3つのプロセスにより研究を進めた。科学的な知見を得たというレベルではないが、研究実績に記載した通り、全てのプロセスを実行し、CO2濃度を指標として客観評価を行う環境教育プログラムを実践するための様々な知見が得られ、次年度の研究授業計画に反映できていることから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
演習林の様な斜面、樹木、林床が混在する環境下では、障害物の無い開けた場所と違って大気が占める空間が狭く、鉛直方向への1次元性が成立しない大変な複雑系である。3次元的な挙動が支配的なCO2濃度と風向・風速の測定データを同時に比較するのは複雑すぎるため、風向・風速の要因については気象庁が発表する天気図から読み取れる気圧傾度(メソβ程度)を採用した方が望ましいと考えられた。平成25年度の授業への導入を検討したが、これを授業に取り入れるのは煩雑な作業が必要であり断念した。これを妥当な範囲で簡略化する方法を研究したい。 当初は実践時に得られたデータを使って仮説を検定するようなプログラムを3年繰り返しバージョンアップさせることを想定していた。しかし、自身の測定結果の疑問の解明に取り組むという、主体的な取組にプログラム参加者はやりがいを感じていた。仮説を検定するために、あれこれ指示することは、主体的な取り組みに悪影響があると判断した。申請者らに対しては、その疑問解決のためのアドバイスだけでなく、比較対象として一般的な空間のCO2濃度の挙動の把握が期待された。地球温暖化を監視・予測するために公開されるCO2濃度データでは、バックグラウンドデータとみなされない変動は取り除かれる。生活環境圏のような環境のCO2濃度の挙動に関する知見は不足しているため、これを研究したい。 平成25年度は、日本と台湾の学校がそれぞれ立場で本研究のテーマに取組み、それぞれが研究成果の国際交流を行い、参加生徒らは大変意欲的に取り組めた。環境教育プログラムのプロセスの一部としての有効性を研究したい。 以上、①連携研究校の主体的な取組、②申請者らによる生活環境下におけるCO2濃度の一般的な傾向の把握、③環境教育プログラムのプロセスとしての国際交流の有効性、これらを集約し、研究目的を果たしたい。
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