2015 Fiscal Year Research-status Report
地域の自然を活かしたプロセス重視型の環境教育プログラムの開発・実践とその評価
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24501116
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
遠藤 晃 南九州大学, 人間発達学部, 教授 (40586525)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境教育 / 科学的リテラシー / ESD / 総合的な学習の時間 / アクティブラーニング / 地域の自然 / 小学校 / 課題解決学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的1「小規模校における環境教育事例の検証とプログラム開発・実践」に関して、沖縄県座間味村立慶留間小学校と阿嘉小学校において引き続き、地域の自然を題材として探求する環境教育の授業を年間を通して総合的な学習の時間(以下、総合学習)に実践し、児童への教育効果と教員の指導方法に関して調査を行った。その結果、児童主体の課題解決学習に必要な教師の指導の在り方を示唆する事例が観察された。 目的2「環境教育プログラムの適用・検証と標準化」に関して、宮崎県内の二つの小学校において継続して地域の自然を題材とした課題解決学習に取り組み、指導者の働きかけと児童の思考の様子について明らかにした。また、ESDに取り組むユネスコスクール・綾町立綾小学校の総合学習について、課題解決のプロセスを重視した授業へと移行するために、担当教員と体験学習の進め方を随時検討を加えながら実践し、省察し、各教科・各単元や学習指導要領と連動した環境教育の年間計画の組み立てに関する知見が得られた。 目的3「教員の環境教育に関する資質向上」に関して、昨年に引き続き「環境教育論」および「環境教育概論」「教員免許状更新講習の受講者」に環境教育について質問した結果、 環境教育に関して「自然保護」という認識が強く、ESDを取り入れた本講義を受講することで認識への変容が見られた。教員の環境教育指導の資質と意識の向上にはESDおよび総合的な学習の時間、アクティブラーニングやカリキュラムマネジメントなど、いま求められる学力との関係のなかで提示することが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1「小規模校における環境教育事例の検証とプログラム開発・実践」に関して、沖縄県座間味村立慶留間小学校と阿嘉小学校の実践を継続し、事例を集めることで児童主体の課題解決学習に必要な要素が明らかになってきた。これらの調査から、児童の興味・関心を引き出し発展させる指導者の在り方に共通な要素を見出すことができ、当初の目的を達成できた。 目的2「環境教育プログラムの適用・検証と標準化」に関して、宮崎県内の丸野小学校および有水小学校での実践研究を継続するとともに、国内のESD普及拠点と位置付けられるユネスコスクール・綾町立綾小学校と協働して総合学習の進め方の検討、実践、省察を実施でき、想定以上に進展させることができた。 目的3「教員の環境教育に関する資質向上」に関して、「環境教育」が学校教育の中での位置付けが明確でないという問題点とESDを取り入れた講義の有効性が認められ、当初の目的を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1「小規模校における環境教育事例の検証とプログラム開発・実践」に関して、沖縄県座間味村立慶留間小学校と阿嘉小学校の実践を継続するとともに、授業に携わった教員へのインタビューを行い環境教育の検証を行うとともに、プログラムに必要な要素を抽出する。 目的2「環境教育プログラムの適用・検証と標準化」に関して、宮崎県内の丸野小学校、有水小学校での教育実践に参加し、児童の学びのプロセスと学校教育に即したプログラムの要素を抽出するとともに、ユネスコスクール綾小学校では、ESDの視点から総合学習を見直し、進め方の検討と実践を進める。 目的3「教員の環境教育に関する資質向上」に関して、現職教員および教員志望者への環境教育への意識調査を行うとともに、教員免許状更新講習や大学の講義を通して、資質向上のために必要な要素を検出する。 以上の実践・調査により得られた知見・資料を基にして、環境教育プログラムの開発と検証、実践をくり返しながら標準化を図り、公表していく。
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Causes of Carryover |
身近な自然を活かした環境教育プログラムの実践研究の場として、調査に賛同協力してくれる小学校が、当初想定していたよりも徐々に増えたため、研究期間を延長することでデータを補強し、研究を精緻に達成することが可能になると考える。また、これまでのデータに加え、次年度のデータを含めて、学会発表および論文投稿をするためにも期間延長が必要である。延長期間に必要な経費を賄うために、495,524円を次年度に繰り越した。 
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査地点の増加に伴う旅費等が必要になるため、下記のように使用する計画である。 物品費:100,000円、旅費:350,000円、人件費・謝金:30,000円、その他:15,524円、間接経費:0円 計495,524円
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Research Products
(3 results)