2013 Fiscal Year Research-status Report
ブロック式実験発電システムを用いた再生可能エネルギーの教育法の評価と検討
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24501118
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Research Institution | SALESIAN POLYTECHNIC |
Principal Investigator |
山下 健一郎 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10450131)
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Keywords | 科学教育 / 環境教育 / 再生可能エネルギー |
Research Abstract |
本研究は,様々な構成で使用することのできるブロック式の教育用実験発電システムを開発・製作し,これを用いた再生可能エネルギー教育を実施するとともに,本教育法の学習効果について検討するものである。 昨年度の研究成果として,同教育により,現実的な視点から再生可能エネルギーを考察できるようになる等の効果の得られることが判明した。さらに,その効果を高めるためには教育内容と学生の学習レベルのマッチングが重要であるという結果が得られたため,当初計画していた2つの実験を「風力発電装置の特性試験」,「風力発電装置の最大電力追従制御実験」,「風力・太陽光ハイブリッド発電装置の動作実験」の3つに分け,それぞれの実験を学生の意見を取り入れながら改良していくこととした。こうした学習レベルのマッチングとその効果についてまとめたものを,日本工学教育協会の年次大会で発表している。本年度はさらに,改善した「風力発電装置の最大電力追従制御実験」と新たに実施した「風力・太陽光ハイブリッド発電装置の動作実験」についてアンケート調査を行い,これらの教育効果について検討を行った。ブロック式の装置を組み合わせることにより,様々な実験を実施できることが本装置の最大の特徴である。また,直接実験で使用しない装置をブロック化することによる「ブラックボックスの排除」(見える化)を図り,この効果についてもアンケート調査による検討を行った。その結果,本教育を3段階としたことにより,高い満足度を維持したまま,難しい内容の実験を実施できることが判明した。また,ブラックボックス排除の効果については,狙い通りの効果は得られず,重要な部分のみを見せ,余分な部分は隠す必要のあることが,新たに判明した。 また,ブロック式実験装置の製作に携わった学生に著しい成長が見られたため,その効果について検討を行い,得られた成果を全国高専フォーラムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における「再生可能エネルギー教育」とは同エネルギーに対する関心・興味・技術等を「ブロック式の教育用実験発電システム」を用いて同時に養うことを目的としている。また,提案する教育法の効果について検討を行い,より効果のある教育法を作り上げることを最終目標としている。 本研究に対する本年度の目標は,当初予定していた2つの実験の実施と同実験による教育効果に関する検討であったが,より高い効果を得るためには,学生の学習レベルとのマッチングを考慮する必要のあることから,これら2つの実験を3つに分けて実施することとし,本教育を3段階とした場合の効果や,新たなブロック式の実験装置の導入によるブラックボックスの排除の効果等について検討を行った。これらは上述した「より効果のある教育法」の構築において重要な変更であると考える。 先ず,実験の実施に必要となるブロック式実験装置の製作を行った。当初,製作を予定していたブロックは「インバータブロック」,「電力補償ブロック」であったが,実験テーマの変更により製作を遅らせていた「太陽電池制御用チョッパ回路ブロック」の製作を先に実施し,これを完成させた。また,実験装置の見える化を図るため,直接実験では使用しない「風車のヨー制御ブロック」,「安全装置を付与した自動計測制御ブロック」についてもブロック化を行った。 こうして完成した,ブロック式の教育用実験発電システムを実際に用いて,高専3年生と4年生を対象に改良した再生可能エネルギー教育を実施した。また同教材の評価や教育そのものの学習効果を知るため,教育を受けた学生を対象にアンケート調査を行った。さらに,これらブロック式実験装置の製作に携わった学生の成長について,調査・検討を行い,実践的なものづくり教育の教育効果についてまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に本再生可能エネルギー教育のプロトタイプとなる実験実習Aを実施しており,平成24年度は当該研究であるブロック式教材を用いた再生可能エネルギー教育として,改善された実験実習A(改善)並びに実験実習Bを実施した。平成25年度は実験実習A(改善),実験実習B(改善)及び実験実習Cを実施し,本教育を3段階とした場合の効果などについて検討を行った。 こうした変更を受け平成26年度は,実験実習A(改善),実験実習B(改善)及び実験実習C(改善)を実施する。これらを円滑にとり行うために,先ずは実験実習C(改善)に必要となる「インバータブロック」及び「電力補償ブロック」の製作を優先的に行う。また,実験実習A(改善),実験実習B(改善)及び実験実習Cを受けた学生に再生可能エネルギーをテーマとした卒業研究を行ってもらい,同分野における「関心・興味・技術」などの変化について調査を行う。こうして得られた結果と,平成23年度に実施した「再生可能エネルギー教育を受けていない学生」を対象としたアンケート結果を比較検討することにより,本教育法の効果についてまとめる予定である。さらに,完成した教材を近隣住民に公開し,再生可能エネルギーについて簡単な講義を実施するとともに,講義を受ける前と受けた後でどのような意識変化が生ずるかをアンケート調査により検討する予定である。 種々な教育内容(実験実習の内容)の変更に伴い,教材の製作に関する計画もいくつか変更してきたが,最終的には計画通りのブロック式教育用実験発電システムが得られる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が零でない理由としては,購入予定であった発電機の値段が安く済んだことが挙げられる。その一部は予定していなかった学会への参加費として用いることとしたが,計画外であったため,次年度使用額が生じてしまった。 教育内容の変更とともに,製作しなくてはならないブロック式教材の種類が増えている。また,平成26年度に製作予定のブロックも完成に至っていない為,次年度使用額は,これら教材製作の材料費として用いることとする。
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Research Products
(3 results)