2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Development of Mathematical Teaching Method of Supporting Metacognitive Activities in Elementary School
Project/Area Number |
24501121
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60312328)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタ認知 / 算数指導法 / 文章題 / 介入授業 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究では、介入授業を小学5年生の2つのクラスに時期をずらして行うとともに事前・中間・事後調査を行った結果、全体としては介入の前後で問題解決の得点もメタ認知得点も上昇していた。本年度では、この介入授業の効果が1年後の6年生の段階でどの程度残存しているかを検証した。 前年度のデータに今回の遅延調査データを加え,改めて時期の要因(事前・中間・事後・遅延)と群(第1・2群)の要因で分散分析を行ったが,問題解決得点・メタ認知得点ともに時期の主効果のみが有意であった。問題解決得点は,事前:5.9,事後:7.4,遅延:8.4となり,事前-事後間に有意差が認められた。事後-遅延間では得点がやや上昇した。メタ認知得点は,事前:7.6,事後:9.3,遅延:10.9となり,事前-事後間,事後-遅延間に有意差が認められた。介入授業の効果は1年後の時点でも続いており,自然な発達的伸びも加わったと考えられる。 両群を込みにした問題解決得点とメタ認知得点との間の相関は,事前調査ではr=.372であったが,事後:.493,遅延:.691となった(df=56, p<.01)。事前調査の段階に比べて,介入後の事後調査や遅延調査の段階では,問題を解けている子どもはメタ認知得点も高いという傾向がより強まった。 全員を事前調査のメタ認知得点の上位(8点以上)・下位に分け,問題解決得点とメタ認知得点について時期と群(上位下位)の2要因の分散分析を行った。問題解決得点は2つの主効果のみが有意であったが,メタ認知得点は2つの主効果と交互作用が有意であり,メタ認知的思考に与える介入授業後の効果は下位群で顕著であった。1年後の遅延調査では上位・下位群ともに両得点が有意に上昇しており,「頭の中の先生」の言葉を使い効率的に問題解決を行うことが浸透しつつあったと考えられる。
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