2012 Fiscal Year Research-status Report
創造性教育のための協調的アニメーション制作支援システムの研究開発
Project/Area Number |
24501129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
布山 毅 東京芸術大学, 大学院映像研究科, 准教授 (10336654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 始 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (60333168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アニメーション / 協調学習 / 創造性 / 美術教育 / 認知過程 / 省察 / リフレクション / ふりかえり |
Research Abstract |
本研究は、協調的なアニメーション制作活動を通じた創造性教育の可能性に着目し、認知科学的な学習モデルに基づき制作過程の意識化を促す機能を持った制作支援システムの研究開発を行う。学習過程における「省察」の効果に着目し、作品制作過程を可視化する機能をアニメーション制作ツールに組み込むことにより、学習者の創造性に関する省察活動を支援することを目指している。2012年度は、本研究に先立ち2010年に開発が行われたアニメーション制作支援ソフト『KOMA KOMA』をベースとして、以下の新規追加機能の開発を行った。 ①制作プロセスを自動記録し、ダイアグラムとして一覧表示する「自動プロセス記録機能」②複数ユーザーによる使用を前提とした「ネットワーク管理機能」③撮影画像解像度の向上とカメラ映像の設定機能 ①の「自動プロセス記録機能」は、アニメーション制作時のユーザーの操作(撮影、再生、削除、保存)を全て記録し、『ふりかえりシート』と呼ばれるタイムライン形式のダイアグラムとして印刷できる機能である。『ふりかえりシート』を用いることで「どのように完成作に到達したか」を視覚的にふりかえることを可能にし、さらにそこでの言語報告を通じて作品制作中の自身の制作過程に対するメタ認知的な意識化を促す教育効果を狙っている。一方、②と③は『KOMA KOMA』のテストユーザーからの要望に応えた機能改善で、ツールとしてのユーザビリティと安定性を向上させることができた。以上の研究成果は教育工学会で発表を行った他、美術館における講演等で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画においては、2012年度中に『KOMA KOMA』の「自動プロセス記録機能」を実装し、評価実験まで行う予定であったが、最終的には年度内に行う開発項目が当初の予定よりも増えてしまった為、評価実験は2013年度に先延ばしすることにした。開発項目が増えた主な理由は、「自動プロセス記録機能」の実装にあたり、ソフトウェア内の映像データ保存形式を抜本的に改良したことで、それに伴いかねてから『KOMA KOMA』のテストユーザーから希望のあがっていた撮影画像解像度の向上と、ネットワーク接続時の動作の安定化をも併せて実現することにした為である。これらの改良は、本研究の主たる研究目的に直接結びつくわけではないが、円滑な評価実験の実施とその後のツールの普及を目指す上では欠かすことのできない開発項目であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度からは、前年度に開発した『KOMA KOMA』の「自動プロセス記録機能」の評価実験を中心に行う。当初の研究計画に沿って、少人数の大学生らを対象とした評価実験を行い、さらには15名程の大学院生を対象としたワークショップ実践を行う。分析方法としては、参加者同士のワークショップ中の会話データの相互作用分析と、事後的なインタビューおよびアンケートの分析を行う。これらのデータを元に「自動プロセス記録機能」を使用した際に生じる省察の傾向を明らかにすることを目指す。その上で創造性の高い表現を生み出しやすい課題条件や教示方法について検討し、指導のためのデザイン原則を抽出する。また「自動プロセス記録機能」を中心とした『KOMA KOMA』の諸機能の改善を図り、さらなるユーザビリティの向上を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、『KOMA KOMA』の「自動プロセス記録機能」の評価実験を行うための実験補助およびデータ分析補助の人件費と、『KOMA KOMA』の更なる機能改善のための開発費の支出を主に予定している。さらに研究成果の発表のため、教育工学会等に参加するための国内旅費の支出を予定している。
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Research Products
(3 results)