2012 Fiscal Year Research-status Report
非教科型の多肢選択式テストで測定される高次の知的能力の構造に関する研究
Project/Area Number |
24501171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
椎名 久美子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (20280539)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 問題解決過程 |
Research Abstract |
情報把握力や論理的思考力を測定するために試作された多肢選択式の設問に関して,余白に残されたメモ描きの特徴に着目して解答方略の分類を行った.これまでの研究で得られた知見をもとに,抽象化や符号化,図表の活用などの点に着目した分類を試みると共に,複数の方略の併用についても着目した.研究対象とした多肢選択式の設問は,専門的知識を前提とせずに解答できるように作成されているが,そのような設問を解くのに用いる方略の違いが,その後の新しい知識の修得とどのような関係があるのかについても分析した. 具体的には,教科・科目フリー型の総合試験の試作問題のうち,平面上における方向把握を扱った設問(方向把握問題)を,図法幾何学を学ぶ前の大学1年生に解答させて解答方略を分類し,約4ヶ月の図法幾何学の講義の後で実施した期末試験の得点との関係を分析した. 方向把握問題の正誤と期末試験の得点には有意な関係は認められず,これまでの同様の調査との一貫性が確認された.また,図法幾何学の期末試験のうち,複雑な作図問題では,方向把握問題で抽象度の高い解答方略を用いる者のほうが高得点を取り,方向把握問題で図を用いる解答方略を用いる者のほうが低得点を取る傾向が,弱いながらも有意にみられた.ただし,この傾向は,図法幾何学の期末試験で扱う内容や難易度によって変動することが示唆されており,今後も引き続き,解答傾向の安定性について調査して,解答方略と新しい知識の修得の関係について分析する予定である.平成24年度は,検討結果の一部を第15回図学国際会議において口頭発表し,研究者と意見交換を行った.その後,論文として採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次の知的能力を測定しようとする教科・科目フリー型の問題を解くのに用いる解答方略と,新しい知識の獲得との関係についての知見を得た.得られた成果を国際会議で口頭発表して,研究者との意見交換に努めた.また,国際会議での口頭発表は,国際学会の学術誌に論文として採択された.
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Strategy for Future Research Activity |
符号化や抽象化,図表の活用などの解答方略が用いられる問題や,多様な解答方略がみられる問題に着目して,これまでの検討をもとに,処理すべき情報の量や種類、条件の複雑さなどの外見的な特徴と,測定される能力や統計的特性との対応関係を整理する.これまでの分析において解答方略が明確に分類できなかった問題については,解答過程を受験者に発話させたり,用いた方略について解答終了後にインタビューしたりする調査を行うことで補完する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究遂行に必要な物品の購入をすべて済ませたところ,残額が発生した.そのため,平成25年5月に開催される学会に出席して研究情報を収集するための旅費として使用することにした.
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