2012 Fiscal Year Research-status Report
教師の教材開発能力の分析に基づく教員研修用ルーブリックの開発と評価
Project/Area Number |
24501184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
益子 典文 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (10219321)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教師研究 / 教材開発 / 教員研修 / ルーブリック |
Research Abstract |
本研究は,教材開発に関する教師の職能発達水準の明確化と,教員研修におけるルーブリックの開発・評価を目的としており,実証的研究,ルーブリック開発,ルーブリックの有効性検証,という3つの研究を遂行しようとしている。教材開発能力を「種々の条件を考慮した素材を選択し,学習の成立に向け授業過程に位置づける知識・技能」と定義し,教師が素材を選択し教材化する過程のパフォーマンスを調査した。 小学校教師を対象として,協働的学習実現のための授業設計過程において,ICT活用高頻度群・低頻度群の教師の設計過程の差異を,研究協力者とともに調査した。その結果,ICT活用高頻度の教師は,授業における協働的学習実現のために,学習者の個人活動場面でICTを活用しようとする傾向が示された。 次に,具体的な素材選択が目に見える教材開発過程を観察するため,中学校理科教師を対象者とした調査を行なった。一般の百円ショップで許可を得た上で,通常の教材開発用の買い物行動と同様の買い物を実施する。その際,買い物の様子をカメラにて記録するとともに,買い物の最中に素材選択理由の発話を求める。また,調査実施2ヶ月後に,購入した素材の写真を添付したシートを提示し,個々の素材についてどのような教材開発を目的として購入したのか,具体的な教材の記述を求めた。その結果,素材が瞬時に選択されることから,1)教師は教材化可能性をつねにPCKをアイドリング状態で素材を選択していること,2)素材の特性に着目する場合は多様な代案を考えているが,学習活動の改善に着目する場合は代案が少数であること,3)新しい教材を開発しようとする場合は特定の狭い学習内容に着目してアイデアを検証しようとすること,などの特徴が観察された。これらの結果に基づき,仮説的な素材の教材化モデルを構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,デジタルコンテンツを素材とした教材化過程を調査する予定であったが,デジタルコンテンツの教材化過程は思考過程のデータ収集が困難であるため,教材開発過程が観察できる理科を対象にモデルを構成するための初期調査を行なった。その結果,より明確な教材開発過程の分析が可能となった。開発した仮説的モデルは一般性を備えたものであるため,今後ICT活用やデジタルコンテンツの教材化について考察することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
ルーブリックの開発に向け,先行研究のレビューと開発した仮説的モデルの詳細化を並行して行なう。また,仮説的モデルの詳細化とルーブリックの開発のために,研修を企画している指導主事・指導主事経験者へのインタビュー調査を行なう。年度後半には,現職教師を対象としたルーブリックを完成させる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用予定の研究費は,次のような調査のための旅費に使用する予定である。1)先行研究のレビューにあたり,教師の認定基準に知見を持つ研究者や,現職教師に対する教材開発指導経験のある研究者からの情報収集,2)授業におけるメディア利用などの力量を備えた教師を対象とした教材開発過程の調査,3)指導主事・指導主事経験者のインタビュー調査。 以上の使用計画に加え,翌年度の研究費は当初の予定通り,デジタルコンテンツを素材とした調査・分析のための備品,および引き続き実施予定の調査・研究成果発表のための旅費を主に申請する予定である。
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