2012 Fiscal Year Research-status Report
VR-learningシステム「化学実験体験システム」の開発
Project/Area Number |
24501186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟橋 健司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00303694)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | e-ラーニング / バーチャルリアリティ / 化学実験体験システム |
Research Abstract |
本研究は、近年、普及してきているe-learning環境にバーチャルリアリティ(VR)技術を適用することにより、机上の学習だけでなく「体験」を要する学習もコンピュータにより支援することを目的としている。これまでに基礎研究として、仮想液体の操作モデルを提案している。まず、このモデルを凹形状容器による液体操作も可能なように改良した。従来は問題点を明確にするためにも容器を凸形状に限定していたため、直接的に凹形状に対応不可であるという問題点があった。そこで、容器、あるいは液体表面形状の凸要素への分割および統合手法を考案することにより実現した。 VRシステムに不可欠なリアルタイム処理を維持しつつ、様々な容器による液体操作が可能となった。 仮想液体の操作モデルは、基本的に汎用性を考えて考案しており、化学実験体験システム以外のリアルタイムシステムへの適用が容易である。しかし、化学実験体験システムという特定のアプリケーションを想定した場合、スポイトのような特殊な器具も不可欠である。そこで、スポイトそのものをモデル化することにより、圧力や表面張力など様々な要素を考慮することなく、化学実験体験システムに特化した仮想スポイトを実現した。 これまでのパイロットシステムでは、挙動のリアルタイムでの表現に重点をおいており、CGによるリアリティは開発優先順位を下げていた。しかし、「化学実験を行っていると感じられる」システムにはCGによるリアリティも必要である。これまで単に互いに干渉しないパーティクルの集合として表現していた落下液体を、新たに導入した「鍵粒子」により表現することで、よりリアリティの高い挙動を、より高速に計算することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案してきている仮想液体の操作モデルは、実時間処理を可能とする為に、人間は液体を操作する時にどのようなところに注目しているのか検討し、構築したモデルである。このモデルは開発段階であるため容器の形状、液体表面の挙動、液体の色など、いくつかの要素に分かれている。最終的にはこれらの要素技術を統合した上で実用的な化学実験体験システムを開発し、現実感、学習効果について検討する計画である。 現在までに凹形状容器による液体操作を実現しているが、かき混ぜによる渦など、まだ完成していない部分もある。一方、次年度に予定している、フラスコの細長い部分を液体が伝う様子を実現するために、既に基礎的なアイデアを固めつつある。さらに、最終年度における評価実験を見据え、現在、急速に普及してきているタブレット端末上での実験を行うことも想定し、タブレット端末上でシステムを稼働させる場合に想定される問題点の抽出を始めたところである。 以上の通り、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに凹形状容器による液体操作をおおむね実現しているが、まだ完成していない部分もある。 そこで今後は、まずこれらの点を実現する。合わせて、当初の予定である、フラスコの細長い部分を液体が伝う様子を実現するために、アイデアを明確にし、実験システムによる検証を行う。また、最終年度における評価実験に備え、実用的なシステムの完成に向けて調整を行っていく。このシステムの利用者は小学生程度を想定しているが、当初の計画では評価実験における被験者を10名程度の研究室内の学生や学内他研究室の学生を想定していた。研究の進展具合によっては、実際の小学生を対象とした実験も視野に入れられるように、予め、調整を図っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)