2012 Fiscal Year Research-status Report
クラウドサービスを活用した自立分散協調型学習支援に関する基礎研究
Project/Area Number |
24501190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大島 直樹 山口大学, 大学院技術経営研究科, 准教授 (70252319)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自律分散型協調学習 / 学習ポートフォリオ / 学習評価 / Google Apps Education / Office 365 Education / クラウド / スマートメディア / iPad |
Research Abstract |
近年、クラウドサービスを利用した高機能なインターネットサービスを低コストかつ柔軟に導入できるようになった。同時に、タブレット端末などのスマートメディアが普及し、従来のノートPCなどに取って代わりつつある。これらの新しい情報通信技術(ICT)の優れた特性をもとにして、教育における学習支援ツールとしての活用を目指す。本研究の第一年度では、クラウドサービス(ソフトウェア)およびタブレット端末(ハードウェア)の特性を活かした自立分散型の協調学習支援環境を構築することを目指した。 本研究の初年度における課題は、(1)クラウドサービスを利用した学習ポートフォリオの開発、ならびに(2)スマートメディアから学習ポートフォリオに接続するためのアプリケーションの開発の2つである。 (1)については、Google Apps for Education (Google社の教育用クラウドサービス)ならびにMicrosoft Office 365 for Education(Microsoft社の教育用クラウドサービス)を用いて、独立分散型学習ポートフォリオの基礎環境を構築するとともに、クラウドベースの学習ポートフォリオの利便性と学習支援効果の検討を行った。また、ファイルストレージサービスを利用した学習ポートフォリオ機能の実装については、課題(2)に関する実装を兼ねて実施した。スマートメディアから学習ポートフォリオに接続するためのアプリケーションとして、既存の(株)ネットマン製の教育支援アプリ“Cラーニング”の導入を図ることによって研究開発費の抑制を図るとともに、“Cラーニング”に特別仕様としてファイルストレージサービスDropboxとの接続機能を拡張し、スマートメディア(iPadなど)を対象にした学習ポートフォリオ機能の開発・実装を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画では、2つの課題を設定した。1つ目(課題1)はクラウドサービスを利用した学習ポートフォリオの開発、2つ目(課題2)はスマートメディアから学習ポートフォリオに接続するためのアプリケーションの開発と実装である。 1つ目の課題については、Google社ならびにMicrospoft社による教育用クラウド支援統合サービスを利用して、独立分散型学習環境の基になる学習支援環境を構築するともに、大学院における授業においてそれを利用した演習を実施した。 2つ目の課題については、当初目指していたスマートメディアから学習ポートフォリオに接続するためのアプリケーションの独自開発に掛かる費用と開発期間が予想を遙かに超えることが判明したため、研究開発費の抑制と開発期間の短縮を意図して既存の製品に機能拡張を施した上で導入を図ることを検討し、(株)ネットマン製のCラーニングが最適であることが判明した。(株)ネットマンとの機能拡張に関する交渉を進め、Dropboxとの連携機能を拡張し、システムとして実装した。 以上、初年度の研究計画は順調に進捗し、研究目的を概ね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題は、大きく3つに分けることができる。1つ目は開発したプロトタイプの学習ポートフォリオとアプリケーションを実践し学習データを収集すること【課題1】であり、2つ目は収集した学習データを分析して学習支援効果を計測すること【課題2】である。そして、3つ目として学習データの分析結果に基づいて、プロトタイプの学習ポートフォリオとアプリケーションの改善を図る【課題3】。 【課題1】学習ポートフォリオの実践について:研究初年度に開発する学習ポートフォリオと統合アプリケーションを実践する。課題1における詳細課題は、開発した学習ポートフォリオを配置して学習データの収集を目指す。 【課題2】収集した学習データの分析では、データマイニング技法、ネットワーク分析技法ならびにSmallTalk言語手法などを用いて学習における認知過程を分析し、形成的な評価を行う。従来の研究では、様々な学習評価手法が試みられてきた。本研究では、これらの先行事例を基にして、新しい学習評価手法として、ネットワーク分析手法の導入を検討する。従来、ネットワーク分析は組織構造や社会構造の分析手法として認識されている。そこで、学習に関する認知的な構造をモデル化することによって、ネットワーク分析の学習評価手法としての可能性を検証する。 【課題3】分析ならびに評価結果に基づいて、学習の形成過程に対する学習ポートフォリオの依存性を評価し、もっとも高い学習効果が期待できる学習ポートフォリオモデルを一つに絞り込む。そして、絞り込んだ学習ポートフォリオモデルのブラッシュアップを図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データストレージサービスのライセンス購入として、35万円を計上します。ならびに学習支援環境のインターフェースの改良として、5万円を計上します。
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