2013 Fiscal Year Research-status Report
UDLアプローチの援用により「個に応じた指導」を可能にする授業設計法のモデル化
Project/Area Number |
24501191
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
川上 綾子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50291498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益子 典文 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (10219321)
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Keywords | 授業設計 / 個に応じた指導 / ユニバーサルデザイン |
Research Abstract |
本研究は,学校教育における一斉授業の中で「個に応じた指導」を可能にするための授業設計法について,「学びのユニバーサルデザイン(Universal Design for Learning;以下UDL)」のアプローチからそのモデル化をめざすものである。 初年度(平成24年度)は,「個に応じた指導」に関する学校現場の実態調査,及び,授業設計に影響する要因の整理等を行い,それらを踏まえてUDLアプローチを援用した授業設計の枠組みの検討に入った。 本年度(平成25年度)は,前年度に検討した設計枠組みを暫定的に用いて,実際に小・中学校及び高等学校において計4教科の授業の設計と実践を試行し,児童生徒の学習への効果を調べた。その結果,UDLアプローチの援用による設計枠組みに基づき,学習内容・活動の可視化,自己選択の機会の設定,学習活動への負担感の軽減等を企図して,それぞれの授業で実施した教師の種々の手立てについては,児童生徒から概ね有用であるとの評価を得られた。このことから,授業のプロセスに対しては一定の成果が認められたと言え,暫定的に用いた授業設計枠組みは,さらに精緻化を図る必要はあるものの,概ね妥当であると考えられた。ただ,授業の結果としての学力面については,児童生徒の意識調査において「わかりやすかった」という評価は得られたものの,理解度テストにおける成績の向上といった直接的な効果は明らかにされなかった。効果検証に際し,今年度はそれぞれの対象学級の全体的な傾向の評価に留まったが,特に学力面への影響を捉えるためには,各手立てが本当に”個に応じた”ものになっていたかどうかについて事例分析的な捉えも必要であり,次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の計画に沿って,平成25年度は,前年度に検討した設計枠組みを暫定的に用いて実際の小・中学校及び高等学校においてUDLアプローチを援用した授業の設計とその評価を実施し,設計の枠組みやプロセスとその内容等に関する妥当性についてエビデンスを蓄積した。したがって,ほぼ予定通りの取り組みができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様,次年度も,実際の学校現場を対象に,UDLアプローチを援用した授業設計及び児童生徒の学習に対するその効果検証を引き続き行う予定である。ついては,それらに際し,児童生徒の実態や学習内容の性質,学習環境面での条件等について,授業者(研究協力者である現職教員等)と十分に協議し,本研究で提案する授業設計法の具体的実践場面における有用性を検討する。それら個々のデータ収集と並行して,研究のまとめに向け,当該の授業設計法の体系化を図り,設計モデルの提案につなげる。
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