2013 Fiscal Year Research-status Report
震災後の中核市における校外初任者研修の効果的な運用に関する研究
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24501201
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大橋 保明 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30387667)
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Keywords | 初任者研修 / 教師教育 / 中核市 |
Research Abstract |
本研究は、震災後の中核市における校外初任者研修の現状と課題を整理し、校外初任者研修の効果的な運用等について検討することを目的として、(1)全国40市の中核市における初任者研修の実施状況に関する量的調査、(2)初任者研修受講者・初任者研修実施担当者・教職経験10年目教員への聞き取り調査、(3)校外初任者研修プログラムの研修効果や改善点の検討、(4)初任者教員の適応および成長支援に資する効果的な研修内容等の提示、を行うものである。 2年目の今年度は、(1)~(3)に関わる調査研究を中心に実施した。成果の概略は、次のとおりである。 (1):平成24年度末現在、全国には41の中核市があり、学校数及び児童生徒数の合計は、小学校2,220校/894,600名、中学校1,029校/434,751名であった。中核市における初任者研修受講者数は、平成16年度1,522名(35中核市)から平成23年度2,367名(41中核市)へと増えているが、全体に占める割合は約8~9%で大きな変化は見られなかった。中核市における拠点校方式の実施は、平成16年度67.5%から平成23年度90.4%へとこの7年間で23ポイントほど増加し、中核市全体の約9割を占めていた。 (2):福島県内の中核市においては、震災によって県から独立した初任者研修の内容が震災前の依存状況に戻りつつあるが、「初任期」を意識した任意研修を新たに立ち上げるなど、研修の自律性を高める動きが確認された。 (3):いわき市における防災サマーキャンプとの連携プログラム等に見られるように、「遂行中断性(アフォーマティブ)」の考え方を基盤として、「「教師である前に市民であること」が可能になるような教師教育」が制度的に構築され始めていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採択決定直後に東北地方から東海地方へ所属大学の変更があったため、申請時に調査対象地として予定していた東北地方の中核市から距離ができ、時間的な制約が生じたことは前年度同様である。また、これに関連して、研究日が木曜日であったため、東北地方の調査地を日帰りすることが難しく、平日にしか対応できない教育行政関係者への聞き取りや研修場面の参観等に支障が出た。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の課題に対する方策としては、研究日を月曜日に設定するなど担当授業の時間割を調整することで調査研究時間を確保するとともに、研究目的では必ずしも調査地を東北地方に限定しているわけではないので、西日本における先進的な取り組みなども積極的に調査する予定である。適時適切にエフォートを見直しながら、調査研究時間の確保および調査研究の効率化に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前記の理由(「やや遅れている」の理由)により、現地調査回数が予定よりも少なかったため、聞き取り調査に伴う旅費やテープ起こし等の人件費が抑えられたことが理由として挙げられる。また、年度末に購入した質的データ分析ソフトの予算執行が次年度執行となってしまったため、次年度使用額が生じた。 調査対象地を東海地方や西日本の中核市にも広げる予定であるため、聞き取り調査に伴う旅費やテープ起こし等の人件費が増加すると考えている。また、最終年度のまとめに向けて、教師教育学研究者から専門的知識の提供が必要であると考えており、謝金としての予算執行を予定している。
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