2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501205
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
長坂 保美 日本工業大学, 工学部, 教授 (70316701)
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Keywords | 授業 / 3次元CAD教育システム |
Research Abstract |
本研究は,本研究室で開発した3次元CAD教育システム(モデリング技法を学習する実習教材)に,3次元CADを学問として捉えた講義教材を組み込み,Web上で教育機関の誰もが有効に活用できる3次元CAD教育の新たな授業体制を確立することを目的とする.3次元CAD教育システムは,動画マニュアルによる“講義”,学生の能力に適した課題を提示する“演習”,自動採点機能による“評価”,これらの学習履歴による“指導”から構成され,後者の“指導”以外は全てシステム側が授業を担当する.それ故,本教育システムは多人数,しかも経験者から初心者に至る幅広い学生を対象に,教員1名で授業を担当できるという特徴を有している.本研究は,本教育システムをWeb上で実現し,3次元CADを誰もが学習できる環境を提供することで,3次元CADの指導者不足という課題を抱える教育機関の一助になると考えている. 今年度は,昨年度開発した学生のモデリング能力に適した課題を提示する機能(演習課題選定機能)を実際の授業で実用化し,その学習効果(課題の進捗状況、成績など)を整理し,その有効性が確認されたことを論文(査読付)として報告した.また,3次元CAD教育システムを誰もが有効に活用できる第一段階として,“講義”の動画マニュアル(CADベンダー承諾済の3次元CAD)をWeb化,さらには3次元CADを有しない環境での予習・復習が可能な“演習”の演習課題をWeb化し,新年度の授業で活用しながら本格的な実用化を目指すための準備を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画は下記(1)~(4)を予定し,これに沿った研究開発を実施したので,上記達成度と判断した. (1)モデリング能力に適した演習課題選定機能の実用化:前年度開発した演習課題選定機能を実際の授業で実用化し,“演習”の進捗状況や試験結果などを整理し,導入前との比較から,教育的効果の有効性を確認した. (2)新たに導入したPro/ENGINEER(現在、Creo Parametricと呼ぶ)の教育システムの開発:現在,3次元CAD教育システムはCATIA,SolidWorksを対象としている.これに加え,教育機関で多く導入されているCreo Parametricの動画マニュアルを開発した.現在,CADベンダーにネット上での公開が可能かどうか問い合わせ中である. (3)ホームページの開設:開発の一部は外部業者に依頼し,3次元CAD教育システムの一部(著作権や肖像権など,販売元の承諾を得た動画マニュアル),および3次元CAD講義教材の一部をホームページ上に公開した. (4)予習・復習が可能な演習課題の実用化:3次元CADを有しない環境でも,予習・復習が可能な“演習”の演習課題等を構築し,次年度以降の授業で実用化するための下準備を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は,ホームページを中心に“ものづくり”教材広場として,3次元CAD教育システムの他,本学で開発した機械設計教材支援システムやCAM/NC工作教育システム(NC操作盤シミュレータ,Gコードシミュレータなど),実践的な教材を公開していく.なお,ホームページを開設する場合,特にウィルス対策,あるいは公開する内容が課題となる.また,授業等で使用する場合,個人情報を扱うのでコードの暗号化などの技術開発が必要となる.そのため,下記開発の一部は外部にシステム開発を委託し,公開できる部分に関しては順次公開していく.計画の詳細は以下のとおりである. (1)ホームページ運用と管理:3次元CAD教育システムが閲覧(あるいはダウンロード)できるユーザ認証機能等の開発を行う.本開発に関しては,ウィルス対策などの機能(専門的ノウハウ)も必要となるため,その一部の開発を外部に依頼する. (2)各種教材の公開:上記システムの公開の他,CAD誕生の歴史的背景から最新のものづくり技術,さらにはカスタマイズ技法の開発事例などを解説した実践的な講義教材を開発し,これをホームページ上に公開する. (3)Webを用いた“ものづくり”教材の新たな授業体制の確立:CAD/CAMシステムやNC工作機械など,動画マニュアルやシミュレータ技術を用いてWeb上で誰もが“ものづくり”教育を受けることができる新たな授業体制を確立する. (4)上記研究開発成果の公示:上記ホームページの開発・公開状況,あるいはWebを用いた予習・復習の学習効果等を整理し,学会等で公表(口頭発表),さらには投稿論文として発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度(平成24年度),3次元CAD教育システムをホームページ上で公開するため,専用のハード環境(パソコン)を購入した.その際,どこまで公開するか,授業との関連性など,具体的な運用・実用化案が決まらない状態であった.一方,今年度はホームページを開設するため,ホームページ上に組み込む教材内容と実際の運用方法等についての検討を行い,授業等で実際に使用する具体的な運用を一部試験的に運用する,という条件でその枠組みの開発を外部に依頼した. 上記運用・実用化案が遅れたのは,本教育システムを実際の授業で運用した際,想定外のトラブルが数多く発生したことによる.特に,ホームページでの運用は個人情報の外部流失などが想定され,慎重な開発と運用が要求されるためで,その対策が遅れたことによる. 次年度は本格的なネットワーク上での運用開発を進めていく.具体的には,今年度試験的に開発したホームページを実際の授業等で運用し,運用上の課題を抽出していく.特に,ウィルス対策,個人情報の外部流失に関連したコードの暗号化,さらにはホームページ上の学習履歴と授業等で使用している現在の学習履歴のデータ管理など,解決すべき課題を多く抱えている. 前者のウィルス対策やコードの暗号化は,高度な技術力を有するため,その開発の一部を外部に依頼する.一方,後者のデータ管理については,実際の授業等の予習や復習等で使用していくため,著者らが開発を行っていく.そのため,ホームページ立ち上げに関連する開発ツール等を購入し,必要に応じて公開していく.
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Research Products
(8 results)