2012 Fiscal Year Research-status Report
手術室映像配信システムを用いた医学教育に関する研究
Project/Area Number |
24501209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
北村 律 北里大学, 医学部, 講師 (40599544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 鑑 北里大学, 医学部, 教授 (40281703)
鳥井 晋三 北里大学, 医学部, 准教授 (40172225)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 手術トレーニング / 映像 |
Research Abstract |
本研究は、日本の医療界で問題となっている3つの要素を背景としている。まず1つ目は外科修練医が長時間労働を強いられているために手術手技トレーニングに充てる時間が不足していること、2つ目は日本の特に非都市部で問題になっている「外科医不足」、3つ目は超高齢化社会において各疾患に対する治療適応がともするとあいまいになって医療経済をひっ迫させていることである。 これら3つの問題に対し、手術室映像配信システムを用いて、まずは外科修練医の手術手技習得に要する時間を短縮し、効率のよい時代に即したトレーニングシステムを構築すること、また、医学部学生の外科教育、特に手術についての教育を充実させ、外科学に対する意識改革と将来への動機づけをすること、さらに高校生や一般市民に対して医療啓蒙を行い、若者の医者離れを食い止めるとともに、限られた医療財政の中で実現可能な治療適応を築くことを目的とし、今回の研究を計画した。 平成24年度の実績としては、本研究の根幹であるヘッドカメラシステムの購入に際し、当初予定していた製品を試用したところ、術者の頭部の揺れに伴う映像のブレが強く、期待していた品質に大きく劣っていたため、機器の選択を初めからやり直さねばならず、そのため購入が年度の後半までずれこんでしまった。その間はヘッドカメラがなくても可能な作業を行った。すなわち、医学部学生の心臓外科手術教育における、ヘッドカメラ導入以前の意識調査を行い、コントロールとした。具体的には、医学部5年生が2週間行う心臓血管外科実習の最後に、実習全般について批判的な意見を述べさせ、それを現在解析している。全体的には、手術手技が良く見えなくて残念だったとの意見が多く、これがヘッドカメラ導入後どう変化していくかを今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の根幹であるヘッドカメラシステムの購入に際し、当初予定していた製品を試用したところ、術者の頭部の揺れに伴う映像のブレが強く、期待していた品質に大きく劣っていたため、機器の選択を初めからやり直さねばならず、そのため購入が年度の後半までずれこんでしまった。ただしその間はヘッドカメラがなくても可能な作業を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
外科研修医を対象にした模擬皮膚縫合に関する検討は、本年度より開始する。まずは心臓血管外科をローテートする研修医を対象とし、可能であれば他の外科研修医も対象に含める。 心臓血管外科修練医を対象にした冠動脈吻合についても本年度より開始する。これについては現在当科にて修練中の心臓血管外科修練医を対象とする。また、ブタ心臓を用いた大動脈弁置換術に関する検討は、使用する人工弁を調整し、可能であれば本年度より開始する。 医学部学生を対象とした検討は、本年度も引き続きデータ収集を続ける。本年度のデータが集まったところで、昨年度のデータとの比較を開始する。 高校生を対象とした検討は、映像配信用の通信回線の整備を行い、同時に対象となる高校の選定を行って、研究の準備を進める。 一般市民に対する検討は、上記の外科研修医・修練医、医学部学生、高校生を対象とした研究の結果が出たところで行った方がより効果的であると考えられるため、さしあたっては上記の研究を進めることを優先する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今回購入したヘッドカメラシステムは、ハイビジョン映像を中継でき、かつハイビジョンのまま保存できる高性能のものであるが、冠動脈吻合や、新生児手術といった、極めて細かい作業を映すためには、さらに高解像度のレンズが必要であるため、これをまず購入する予定としている。さらに、修練医を対象とした検討を行うべく、模擬皮膚・縫合糸の購入を予定している。
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