2012 Fiscal Year Research-status Report
落ちこぼし学生の早期発見と,学修改善指導支援環境の整備に関する研究
Project/Area Number |
24501213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小林 浩 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (00349804)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育工学 / 学修改善指導 / 落ちこぼし学生 / e-learning |
Research Abstract |
本研究は,次の学修改善指導サイクルの構築を目指している.(1) 授業ごとに実施するテストやレポートなどの学修データを,学習支援システム(既開発済み)を介して自動的に収集する.(2) 収集した学修データを学修分析エンジンにて学生ごとのの単位落とし率を推定し,落ちこぼし候補学生を要因別にリストアップする.(3) 学修改善指導支援環境を介して,推定単位落とし率や落ちこぼし要因別に当該学生へ担当教員が学修改善指導を行う. 上記サイクルを構築するために,平成24年度は,学修分析エンジンと学修改善指導支援環境を研究試作し,さらに落ちこぼし学生の早期発見手法の確立と改善指導ノウハウを得るべく学修データを蓄積することを目標とした. 平成24年度の研究成果として,まず学修分析エンジンと学修改善指導支援環境を研究試作し,研究代表者らの担当授業科目で試験的に運用できる環境が整ったことが挙げられる.その上で,同年度後期の授業履修者(181名)を“励ましメール”を送付するか否かと送付時期とで無作為に4グループに分けて評価実験を行った.その結果,学生たちの学修意欲の喚起と授業出席率の改善に有効なことを確認したが,成績向上までには至らなかった. 上記成果は日本教育工学会研究会にて発表[1]し,参加教員から“落ちこぼし学生”は勉強への姿勢や生活習慣,経済的困窮,発達障害など様々で,彼らの事情に応じた改善指導が必要ではないか,励ましメールを契機に教員と学生とが双方向コミュニケーションが取れるような仕組みを組み込んではなど,貴重なサゼッションを得ることができた. [1] 西中間悠,佐野香,小林浩,“励ましメールによる学修改善指導の提案と,その有効性評価”,日本教育工学会研究報告集,JSET-13-1,pp. 169-176,2013年3月.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,学修分析エンジンと学修改善指導教員支援環境の研究試作を行うとともに,落ちこぼし学生の早期発見手法の確立と改善指導ノウハウを得るための学修データを蓄積することが目標であった. 学修分析エンジンの研究試作については,テスト難易度を隠ぺいするための生テスト得点の偏差値への変換,テスト構成の有効性を判断するためのテスト種別間相関係数の算出,欠席不含偏差値と欠席加味偏差値の算出,過去の学修データに基づく単位落とし率の推定,落ちこぼし候補学生のリストアップと落ちこぼし要因判別などの処理を行う分析コア部をR言語を用いて試作した.申請者らが試作した学習支援システムe2-ELM や教員などとのインタフェース部分の試作については遅れが生じている. 学修改善指導教員支援環境の研究試作については,2回の励ましメールの送信による評価実験を通して,励ましメールが学生たちの学修意欲の喚起と授業出席率の改善に有効なことが確認されており,ほぼ目標が達成されたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
<学修分析エンジンと学修改善指導教員支援環境の研究試作> 平成24 年度に引き続き,学修分析エンジンと学修改善指導教員支援環境の研究試作を行い,実授業で試験運用することにより,評価改良していく.とりわけ,研究代表者らが試作した学習支援システムe2-ELM や教員などとのインタフェース部分の試作については遅れが生じているため,早急に取組む予定である. <落ちこぼし学生の早期発見手法の確立と学修改善指導ノウハウの蓄積> 進行中の授業の学修データを学修分析エンジンにて分析し,学修改善すべき学生の判別精度,他の学修データによる代替性,学修改善指導時期や指導指針の適正さなどを個々の学生ごとに評価し,手法としての確立を目指す.また,実授業での実践を通して,励ましメールが学生たちの学修意欲の喚起と授業出席率の改善に有効なことが確認されたが,今年度はさらに成績向上に向けて,学修改善指導ノウハウの蓄積を図っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究試作におけるプログラム開発や学修データの分析にあたる研究補助者と,研究実施に当たる研究協力者の人件費が主な使用目的で,その他学会発表などに充てる予定である.
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Research Products
(2 results)