2013 Fiscal Year Research-status Report
大学のプロジェクト型学習と非公式な学生の独自活動を繋ぐ学習環境のデザイン
Project/Area Number |
24501223
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
佐藤 慎一 日本福祉大学, 国際福祉開発学部, 准教授 (10410763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影戸 誠 日本福祉大学, 国際福祉開発学部, 教授 (50351086)
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Keywords | 教育工学 / ソーシャルメディア / Project Based Learning / ポートフォリオ |
Research Abstract |
前年度調査で明らかにした学内外のSNSの活用特性を論文としてまとめ、査読付き国際論文誌に投稿し、受理・掲載された。ここで得られた知見を踏まえ、公式な学習だけでなく、非公式な学習を誘発することを目指した学習環境を新たにデザインした。前年度と同様のプロジェクト型学習(PBL: Project Based Learning)を継続するとともに、範囲を広げてゼミ、フィールドワークといった活動においてもこうした学習環境を活用し、活動プロセスを公式・非公式に蓄積しつつ、学習成果向上を目指したeポートフォリオを作成する取り組みに着手した。 eポートフォリオ作成に際しては、先行研究調査も踏まえ、(1) 公式・非公式な学習・活動の過程の記録を主に自分用として蓄積する段階と、(2) 外部に見せることも念頭に置きつつ、振り返りの促進のために整理・編集する段階とに分けて考えることとした。蓄積する段階では、学内外のSNSへの投稿だけでなく、活動の過程で作成される成果物・中間成果物を効率的に記録させるためのガイドラインを検討・整備した。一般的に、各種活動で発生している学びを学生が個人で認識することは難しく、第三者の支援が必要と言われているため、学生が主に自分用として蓄積する記録に関しても、教員や他の学生が適切な範囲で参照できるよう、クラウド環境を活用することとした。 本年度は、10名程度の学生と、上記実践に取り組んだ。記録の量・質には個人差が見られたため、多くを記録していた1名を対象とし、試行的に記録の再編集に取り組み、一連の流れについて考察した。多くの成果物を時系列に並べることでこれまでには実感しにくかった自分自身の成長を感じることができる等、限られた事例ではあるが、一定の効果を期待できるものであったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種学習・活動状況を記録する被験者(学生)と実践の場面を確保し、概ね計画に従って実践を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度、10名程度の学生を対象に行ったクラウド環境を活用した各種記録の蓄積、また、たくさんの蓄積からの試行的なeポートフォリオ作成の結果を踏まえて、適切なデータ管理やそのデータを活用した振り返りの促進手法についての知見を重ねる。実践に取り組む学生には、データ管理や振り返り支援の方法を教員からあらかじめ提示し、継続してeポートフォリオ作成に取り組ませる。この際、友人同士で振り返りを支援する活動(ピアサポート)も取り入れる。これにより、自分自身では気づきにくいと言われる、非公式な活動の中で発生している学びの自覚を促し、かつ、学生に対しての教員による個別の支援だけでは限界があった多くの学生への広がりを実現することを目指す。教員による支援とピアサポートの特徴については、実践・活動の場面を観察やインタビュー調査などにより、質的に詳細な分析を行う。学習面で意図したような効果が得られたかどうかに関しては、ルーブリックを整備するなどして客観的な評価となるように留意する。 以上のような取り組みにより、実体験・活動のプロセスの記録方法と、それらを活用した振り返り支援の方法、人的な体制(学生間のピアサポートなど)も含めたガイドラインを成果物として完成させる。ガイドラインが有効に活用できると思われる各種活動(学生が正課授業外で行うボランティア活動など)への適用も試み、汎用的なガイドラインとすることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学生アルバイトに依頼する予定であったSNS活用データの収集の大部分を、研究代表者、分担者自身の作業によりまかなうことができた。そのため、予定していたアルバイト料(人件費・謝金)よりも少ない支出となった。 物品としては、これまでに実証用に導入したタブレット等をより有効に活用するための周辺機器、ソフト等、補助的なものをいくつか導入する。また、これまでの取り組み成果を国内外の学会(海外1件、国内2件)で行うことを予定しており、そのための旅費を計上している。さらに、研究成果を発展させるべく、実践の継続も計画しており、協力者への謝金、通信費等を使用していく予定である。
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