2013 Fiscal Year Research-status Report
ポートフォリオを用いた意欲向上度とコストを最適化するプログラミング指導環境
Project/Area Number |
24501224
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
島川 博光 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70351327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 史子 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (30454515)
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Keywords | ポートフォリオ / 意欲 / 理解度 / ソースコード / プログラミング |
Research Abstract |
24年度に開発したポートフォリオ環境内のデータを分析する環境として,受講生の意欲を分析するためのe-Learningサイト使用履歴の分析に基づくインストラクショナル・デザイン手法,受講生からのインタビュー結果を動機づけ要因の観点から分析するツール,受講生の理解度を測定するためのツールを構築し,これらの有効性を実験にて検証した. インストラクショナル・デザイン手法の研究では,受講生がe-Learningサイトを使用している履歴を分析することによって,3種類の受講生のタイプが発見でき,その動機づけ要因を同定した.それに基づき,できるだけ多くの受講生の動機づけ要因を取り込んだプログラミング・コースを設計し,これを受講生に適用したところ,従来のコース設定では落ち込んでいた成績と学習時間を,学期の終わりまで高く維持することに成功した.結果を電子情報通信学会の論文誌に発表した. 受講生からのインタビュー結果から得られた動機づけ要因と,上記のe-Learningサイトでの使用履歴との間の対応を,判別分析に基づき分析する手法を構築した.結果を国際会議論文として投稿した. 受講生の理解を測定するツールとして,プログラムを段階的詳細化の手法に基づいて作成するように受講生を誘導するツールと,日本語で書かれた課題文からプログラム構造を作成できるかを問うツールを開発し,実験結果を国際会議にて発表した.前者のツールは,関数の分割を粗いものから,順次,詳細に分割されたコードに変更していく際のつまづきを調べる.後者は,課題文を,プログラム構造を反映した形に並び替えられるかで理解度を調べる.双方とも,受講生が解いた別の演習課題との相関性をとって,手法の正当性を示した.日本語の課題文からプログラム構造を作成できるかを問うツールについては,第12回情報科学技術フォーラム(2013年)にてFIT奨励賞を受賞した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
受講生に提供するサービスが,受講生の意欲向上に資する度合いと,サービス提供にかかるコストを規定するモデルを見つけることが,本研究でのひとつの大きな目標である.インストラクショナル・デザイン手法の研究にて,できるだけ多くの受講生の動機づけ要因を取り込んだプログラミング・コースを設計できる目処がついたので,この目標達成に大きく近づいたと言える.さらに,この手法を,定量的に扱えるようにする手法についても,現在,アイデアを固め,数式モデルを立てている状態である.この手法を実データに適用し,その有効性が示せた場合,本提案での目標がほぼ達成できたことになる. さらに,インタビュー結果の分析においては,線形判別分析を用いて,定量的に動機づけ要因で受講生のクラスタリングができるようになった. 理解度の測定ツールにおいては,過去の演習問題の出来具合との相関性より,測定ツールが理解度を定量評価できることだけでなく,どのような原因により教員が想定していなかったふるまいをとったかを同定できるまで分析が進んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
受講生がe-Learningサイトを使用している履歴を定量的に分析し,受講生を動機づけ要因の特徴によって,即時的にクラスタリングする手法を,引き続き研究・開発する.この手法が確立できれば,分析において大きなコストがかかるインタビューを実施する必要がなくなる.定量的分析には,非負値行列分解を用いる予定である.個人の学習データを分析することに同意してくれた約40人の受講生の,実際のプログラミング・コースでのデータを,この数学モデルにもとづき分析することを進める.さらに,この結果を,インタビュー結果の分析によって得られる,受講生のクラスタリング結果と比較する.以上のような実データに基づく評価により,数学モデルの正当性を検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に得られた成果を論文として執筆し,これを論文誌や国際会議に投稿した,もしくは,投稿する予定である.当該年度中に採択結果が判明しないので,これらの成果を次年度に発表するため予算を残した.予定通り,これらの予算を使って論文発表を行う. 上記の予算を使い,国際会議や論文誌での論文発表を行う.すでに以下の国際会議に論文を投稿した. 2014 International Conference on Social, Education and Management Engineering
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