2013 Fiscal Year Research-status Report
音楽科の学力を育成するためのデジタル教科書の在り方
Project/Area Number |
24501227
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
坂本 暁美 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (60423224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 龍三 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60397792)
堀田 龍也 玉川大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50247508)
深見 友紀子 京都女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10283053)
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Keywords | 教師用デジタル教科書 / 音楽科 / 日韓比較 / 授業支援ツール |
Research Abstract |
平成25年度は、教師用デジタル教科書の日韓比較を行い、日本の音楽科デジタル教科書に備えるべき機能について整理した。そしてこれらの結果をもとに、「音楽的知識や技能の不足に不安を感じる」教員養成課程の学生や初任教師の授業支援ツールとしてのデジタル教科書の在り方を提示した。さらに、学校現場でデジタル教科書を効果的に活用するための実証研究を実施するため、プログラム案(歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞)を作成した。 まず、デジタル教科書の日韓比較については、デジタル教科書活用先進国である韓国視察の知見を整理し、韓国と日本のデジタル教科書活用の現状と課題を比較分析した。その結果、日本の音楽科デジタル教科書には、楽譜と音の連動、映像など視覚的な素材による楽器の奏法の具体的な提示、楽典説明の音声情報や視覚情報による補完などの面において、音と他媒体のコンテンツを連動させる事例が少なく音色や音を選択する機能に課題があることが判明した。また、音楽科デジタル教科書の内容を、教員養成課程の学生や初任教師の授業支援ツールとしての観点から分析した結果、活用の利点は、あらかじめ教材が組み込まれているため、教材を効率よく学習者の反応にあわせて活用できる点と、教員の演奏技能に関わりなく、「音を見る活動」と「音を聴く活動」を乖離させずに指導できる点だった。これらの結果をもとに、現行のデジタル教科書を効果的に活用するためのプログラム案を作成した。今後は、学校現場で実証研究を実施し、デジタル教科書を活用することで学習者にどのような音楽科の学力が育成されるか、教育効果と課題を考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の達成目標は、音楽科デジタル教科書を学校現場で効果的に活用するための基礎研究として、現行のデジタル教科書の機能の特徴と課題を明確にし、韓国との比較分析を通して日本の音楽科デジタル教科書の内容分析を実施した。そして、韓国との比較分析から得られた知見をもとに、音楽科の学力を育成するための活動に必須の機能を備えた自作教材を作成した。 以上の所見により、平成26年度、音楽科デジタル教科書を学校現場で有効に活用するための準備がほぼできたと考えられ、25年度に予定していた研究計画は遂行されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、研究計画の最終年度である。平成24年度は当初計画よりも進展があったため、デジタル教科書先進国である韓国を視察した。平成25年度は、韓国視察から得られた韓国のデジタル教科書活用の知見をもとに、日本のデジタル教科書活用と比較分析を行い、26年度に実証研究やワークショップを実施するための基盤となるプログラム案(歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞)を作成した。 計画が順調に遂行できていることから、平成26年度は、実証実践に関わる人数を増やし、より詳細な基礎データを取得できることを目指す。なお、平成26年度5月に日本初の小学校版デジタル教科書のデモ版が出されること、全教科共通の「プラットフォーム」が平成27年度春を目指して運用されることなどより、デジタル教科書が学校現場で本格活用されることは明らかである。これを受けて、実証研究の対象を音楽を専門としない教員が多い小学校に焦点化し、デジタル教科書が教員養成課程の学生や初任教師の授業支援ツールとしての活用法を学校現場と連携して研究する。そして、これらの成果を広く一般に公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
より詳細な基礎データを取得するため、新規の実証研究を実施する研究協力者の数を予定より増やした。また、平成26年度5月、日本初の小学校版デジタル教科書(デモ版)が出されたことにより、新たなデジタル教科書や情報機器を購入する必要性がでてきた。また授業記録の読み取り作業や国内外の知見をまとめたり、本研究の成果をまとめて発信するための経費が必要となった。 平成26年度は、研究遂行のため、新規で実証研究を実施する研究協力校用のデジタル教科書、電子黒板やタブレットPCなどの情報機器の購入予定がある。また、研究の必要に応じて海外視察を行う。その他、授業記録撮影、撮影されたDVの読み取り作業のための研究補助費として謝金、通訳・外国語論文校閲の謝金が必要である。また、研究成果を発信するにあたり、研究報告書、リーフレットの印刷と送料の経費、ワークショップに係る費用やホームページ作成に係る費用などが必要である。
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