2012 Fiscal Year Research-status Report
放射線影響に関する調査研究体制についての科学史的研究
Project/Area Number |
24501243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
柿原 泰 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (60345402)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 科学史 / 放射線被曝 / 放射線影響 / 原爆調査 / リスク論 / 倫理 / 疫学 |
Research Abstract |
本研究は、60 年間以上にわたり現在に至るまで続けられている原爆被爆者の調査を始めとした放射線影響調査に関する科学史的研究であり、これまでの放射線影響をめぐる調査研究は、どのような体制で行なわれてきたのか、それらは何のため誰のために行われたのか、その結果はいかに活用されたのかなどについて解明することを目的としている。本年度は、放射線影響調査の研究体制がどのように形成され進展していったかについて、原爆の影響に関する初動調査以降の体制形成期、約20年間の概括的把握に努めた。たとえば、科研費による「放射線の影響」研究の経緯について当事者がまとめた『放射線影響研究の十年』(1965 年)などを手がかりにした。また、広島の医師会の通史についての調査などを進めた。 次に、現在進行中の福島の事態をフォローしながら歴史的知見と結び付けていくべく、福島原発事故を受けて始められた福島の「県民健康管理調査」について、広島・長崎の経験を生かして計画されたと言われるが、それはどのような意味でなのかを検討した。その研究成果については、論文を『生物学史研究』に、口頭での報告をチェルノブイリ被害調査・救援女性ネットワークと市民科学研究室・低線量被曝研究会との共催のシンポジウムで行ない、その一部分を発表することができた。 なお、前回の科研費プロジェクトのときと同様に、本研究を進めるにあたって、市民科学研究室の低線量被曝研究会メンバーの研究協力を得て、研究会をほぼ月1回のペースで開催し、研究会での議論を重ねながら研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、市民科学研究室の低線量被曝研究会メンバーの研究協力を得て、研究会をほぼ月1回のペースで開催し、研究会での議論を重ねながら、本研究を進めることができた。また、その一環として、低線量被曝研究会とチェルノブイリ被害調査・救援女性ネットワークとの共催で国際シンポジウムを開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
資料の調査・収集については、順調に進んでいるものの、まだまだ不足しているので、次年度も大いに進めていく。資料の収集にあたっては、大学間図書館ネットワークの相互貸借を利用することによって、かなり助かっている。次年度以降も大いに利用することによって、ますます研究を進展させる所存である。また研究成果の公表にも努めていく所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、資料の収集・整理作業などの補助に対する謝金の支出を予定していたものの、作業者の確保が難しかったため、とくに使用しなかったが、次年度にむけて、作業者の確保にめどもついたので、次年度は支出する予定である。そのため、研究遂行上の問題はない。
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