2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501249
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
月澤 美代子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40311980)
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Keywords | 医療情報 / 医療啓蒙者 / 医療専門職 / 民衆 / 明治時代 / 日本 |
Research Abstract |
本研究の目的は、明治初期日本における医療情報の伝達・普及の状況を、「形成過程にある医療専門職集団」と「民衆」、さらには、この間を媒介した「医療啓蒙者」のそれぞれの層に目配りしながら同時代史的観点から跡づけ直すことにある。 「人体」に関する情報の「民衆」への啓蒙活動に関する検討については、1875~8(明治8~11)年にかけて刊行された一群の安価本を資料として西洋解剖学的人体内臓イメージの民衆への普及に関する研究を行い、この成果の一部を、平成25年度日本医史学会学術大会で口頭発表した上、原著論文にまとめ『日本医史学雑誌』に発表した。さらに、人体にまつわる思想的含意を中心に研究を進め、その成果を、イギリス・マンチェスターで開催された第24回国際科学史・技術史・医学史会議(iCHSTM : XXIVth International Congress of the History of Science, Technology and Medicine in Manchester,22-28,July,2013)で発表した。国際会議の参加者6人の参加報告記をまとめ、日本科学史学会生物学史分科会の機関誌『生物学史研究』に特集として掲載し、さらに、『日本医史学雑誌』にも異なった視点からの参加報告記を寄稿し、国際会議での発表に関する情報の広報・普及に努めた。 なお、昨年度、医療情報の普及に関して検討し『日本医史学雑誌』に発表した論文「明治初期日本における医療情報の伝達-西南戦争・コレラと皮下注射法の普及-」が日本医史学会の学術奨励賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度研究実施計画のうち、2)「人体」に関する情報の「民衆」への啓蒙活動に関する検討、3)「形成過程にある医療専門職集団」に対する医療情報の伝達と普及の検討に関しては、当初の計画以上に順調に進展しており、研究成果の公開も進んでいる。1)資料の収集と整理に関しては、研究の進展によって年度当初の計画を変更したこともあり、研究計画に比べれば、やや不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、最終年度であり、明治初期に日本に移入された、「人体」、さらには、産婦人科・助産関係の医療情報を中心に、「形成されつつある医療専門職集団」と「民衆」、さらには、この間を仲介した「医療啓蒙家」の活動に視点をあてながら、情報伝達対象に応じた情報内容の切り分け・分化の過程に関する研究を進める。また、研究の進展により必要となった資料の調査と収集を、ドイツのベルリン、イエナ、さらには、松本、仙台、金沢等で行う予定である。成果は、日本医史学会、教育史学会等で発表するとともに、原著論文、報告書としてまとめて広く公開していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度繰越金は、当初、予定していた文献資料の入手が古書店の在庫の関係から入手不可能になったこと、さらに、研究の進展に伴い、ドイツでの現地資料調査の必要が生じ、このための資金として次年度に繰り越した分が含まれる。 平成26年度予算のうち、外国旅費は、ドイツへの資料調査、国内旅費は、仙台、松本、金沢での関連資料収集、および、福岡での学会参加費に使用する。また、関連図書資料は、昨年、入手不可能だった一次資料、二次資料の収集を中心に行う。人件費、謝金は、平成25年度に引き続き、データの整理と打ち込み、および、英文論文のネイティブ・チェック費用に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)