2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501250
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 智恵子 日本大学, 商学部, 教授 (70318319)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 科学技術史 / 原子力エネルギー / 放射性廃棄物 |
Research Abstract |
1. 日本の放射性廃棄物処理の歴史について:原子力白書や、日本原子力研究所史を基に、日本の放射性廃棄物処理の歴史の概略史を作成した。また現在、六ヶ所村に建設中の日本の再処理工場の90%の技術は、世界最大の原子力企業Areva社から導入されたものであるため、まずはAreva Japan に放射性廃棄物処理の歴史に関する資料調査依頼を行った。同時にAreva Japan社長のLaferrere氏と面談し、フランスLa Hagueにある再処理工場視察にご協力頂いた。 2. フランスの放射性廃棄物処理の歴史について:夏季休暇を利用して、フランスLa Hagueにある世界最大の再処理工場を訪れ、実際の稼働状態を視察し、広報担当者と技術担当者に意見を伺った。またParis のAreva本社にて、年次報告書その他、資料保管に関する調査を行った。その結果、La Hagueの再処理工場には、資料保管部署が存在せず、Areva本社にも1986年から現在までのCOGEMA(Arevaの前身)とAREVAの年次報告書は揃っていたものの、1976年から1985年のCOGEMAの年次報告書は保管されていなかった。そこで2012年11月と2013年3月にフランス原子力庁(以下CEA)アーカイブスにてCEAの年次報告書を調べた結果、1976年から1985年のCOGEMAの年次報告書に相当するものが、CEAの年次報告書の核物質の項目の中に含まれていることが明らかになった。ArevaとCOGEMAの年次報告書、CEA年次報告書の中に記載されている放射性廃棄物関連の記述を可能な限り収集し、データベース化を行った。 3. 研究成果: 2012年度に行われた日本物理学会と日本科学史学会にて、本研究成果の口頭発表を行った。また、2012年度末に出版された図書の中で、論文を掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、日本の放射性廃棄物処理についての概略史を作成することと、フランスでの放射性廃棄物処理に関する資料収集とそのデータベース化をすることであるが、以下の内容について調べることができたため「おおむね順調に進展している」と判断した。 日本の放射性廃棄物処理の歴史については、原子力白書や、日本原子力研究所史を基にその概略史を作成した。その中でフランスの技術導入が重要であることが明らかになったため、まずはフランスの放射性廃棄物処理の歴史を明らかにすべくフランスでの放射性廃棄物処理に関する資料収集に専念した。そして、La Hagueにある世界最大の再処理工場視察、世界最大原子力企業Areva Paris本社での資料収集、CEAでの資料収集を行い、フランスで原子力開発が始まった1945年以降から現在までの放射性廃棄物処理の歴史関連の資料のほとんどを収集した。この資料調査により、放射性廃棄物処理の歴史的資料は非常に乏しいという結果が得られた。また得られた資料に関しては、その8割程度をデータベース化した。なお今年度は、あくまで現時点で存在が分かった資料のみを収集したが、新資料の発掘については更なる努力が必要であると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. フランスの放射性廃棄物処理の歴史について:フランスの放射性廃棄物処理の歴史に関する資料収集に関しては、二次資料を含めて新資料を調査する。ArevaのDuperray氏が書いたMarcouleに建設されたフランスで最初の再処理工場についての著書があるという情報を得たので、それを入手し、Duperray氏にインタビューを行う。また、CEAアーカイブスには、La Hague再処理工場関連のパンフレットがあることが分かったので、それについても調査する。 2. 日本の放射性廃棄物処理の歴史について: 六ヶ所村再処理工場建設に関する歴史的資料の有無を日本原燃にて調査をすると同時に六ヶ所村再処理工場についても可能な範囲で視察を行う。また日本とフランスの放射性廃棄物に関する研究協力については、日本とフランスの外務省のサイトでの公開情報を含む資料を調べる。 3. イギリスの放射性廃棄物処理の歴史について:英国燃料公社の資料室にて、使用済核燃料の再処理に関する文献を調べ、セラフィールドの再処理施設の視察と関係者へのインタビューを行う。収集資料に関しては、データベース化を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|