2013 Fiscal Year Research-status Report
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24501250
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 智恵子 日本大学, 商学部, 教授 (70318319)
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Keywords | 科学技術史 / 原子力エネルギー / 放射性廃棄物 / 再処理工場 |
Research Abstract |
①フランスの放射性廃棄物処理の歴史について:平成24年度に行った資料調査のデータベース化を進めた。平成25年度前期の調査で、フランス原子力庁(以下CEA)アーカイブスには、再処理工場関連の映像フィルムが保管されていることが分ったので2013年9月にCEAアーカイブスにて関連フィルムを全て視聴し記録し、またCEAの月間機関誌BISTに掲載された放射性廃棄物処理に関する論文を収集した。またMarcoule再処理工場50年史の資料を入手することができた。2013年11月に来日したCEAのL. Turpin氏と会談し、フランスの放射性廃棄物処理の現状について伺うだけでなくBureにある放射性廃棄物地下実験所の情報を得た。そしてTurpin氏の紹介により、2014年1月に地下500mに設置されている同研究所を視察した。 ②イギリスの放射性廃棄物処理の歴史について:イギリス大使館科学部、英国王立協会にイギリスの再処理工場と資料収集に関して問い合わせた結果、英国原子力史研究の第一人者であるProf John Simpsonを紹介された。2014年7月にSouthampton大学にて原子力史学会が開催されるとのことが分かったので、それに合わせてイギリスでの資料収集を行うことにし、日本での文献調査に専念した。 ③研究成果:2013年5月に第60回日本科学史学会(於日本大学)にて口頭発表を行った。2013年7月にマンチェスターで行われた第24回国際科学技術史学会(24th ICHSTM)にて口頭発表を行い、国際的なネットワークを広げた。2013年9月(於徳島大学)、2014年3月(於東海大学)に行われた日本物理学会での口頭発表に関しては、それぞれフランスにおける直前に資料収集結果を反映し、最新の情報を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由) 本年度の主な目的は、フランスの放射性廃棄物処理についての資料補強とデータベース化とイギリスの放射性廃棄物処理についての資料収集であったが、後者については、9. 研究実績の内容で説明したように2014年7月に行うことにしたため「やや遅れている」と判断した。また放射性廃棄物処理に関わったフランス人研究者へのインタビューを2014年3月の春季休暇中に行う予定であったが、本務校の学生海外研修の引率担当になったため、行うことができなかった。 一方、フランスの放射性廃棄物処理に関する資料に関しては、以下の3点において著しく進展し、予想以上の成果をあげることができた。 ①映像フィルムという全く新しい媒体資料を調査した。②これまで軍事関連資料は、ほとんど調べることができなかったが、軍事用プルトニウム生産工場であるMarcoule再処理工場の資料De Divergences en convergences, les cinquante premières années de Marcoule: 1955-2005を入手できたため、軍事用プルトニウム生産に関する詳細が明らかになった。③放射性廃棄物再処理処分地候補であるBure地下実験所の視察を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) ①フランスの放射性廃棄物処理の歴史について:De Divergences en convergences, les cinquante premières années de Marcoule: 1955-2005の著者等、放射性廃棄物処理に関わった研究者にインタビューを行う。Areva 社のMrs Briand とMrs Taguineを通じてインタビューイーに連絡をして頂くことになっているので、6月にはインタビュー予定を確定し、9月にインタビューを行いたい。 ②イギリスの放射性廃棄物処理の歴史について:2014年7月にSouthampton大学にて行われる原子力史学会に参加し、同時にイギリスでの資料収集を行う。英国原子力史研究の第一人者であるProf John Simpsonと密に連絡を取りご教示を賜る。 ③平成26年度は最終年度になるので、11月までに日本・フランス・イギリスの放射性廃棄物処理に関する資料のデータベース化を終える。特にイギリスについては、7月の資料収集後、夏季休暇を利用し集中して資料の整理を行う。11月以降は、放射性廃棄物処理の歴史に関する仏英日の比較に関する論文作成を3月末日までに仕上げることを目標に3カ国の比較総合分析に努める。
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