2015 Fiscal Year Annual Research Report
理系専門課程における科学史の歴史研究に基づく教育カリキュラムの提言
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24501251
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中根 美知代 日本大学, 理工学部, 研究員 (30212088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植松 英穂 日本大学, 理工学部, 教授 (70184968)
溝口 元 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80174051)
内田 正夫 和光大学, 付置研究所, 助教 (20100406)
工藤 光子 立教大学, 理学部, 准教授 (90594078)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数学史 / 物理学史 / 化学史 / 生物学史 / 理学部共通科目 / 科学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本での個別科学史の実態についての調査を続け、成果をまとめる一方、理系向け科学史の教授要目を具体的に示していくという二つの方向から研究を進めた。 前者については、名古屋大学物理学教室における物理学史の実情、パスカル研究に取り組む文系研究者と数学者が協力して日本の数学史のレベルを引き上げた状況、奥野久輝の化学史の講義ノートおよびその講義が形成される過程が明らかになった。いずれも個別の話題であるが、理系の枠でなされた科学史研究・教育の具体的な実態を伝えるものである。 生物学・地質学については、戦前に出されたものも含めて日本語の教科書を検討した。すでに状況を把握していた他分野と突き合わせたうえで、理系学生向けの科学史教育をどう進めるべきか、考察をすすめた。文系向けの個別科学史ではなく、理系向けの科目ということを考えるとき、専門科目としての歴史が教育上効果的に機能する分野とそうでない分野があるのではないかという論点が必要で、数学や化学は古代からの通史が、物理学については現代物理学史が、その分野の理解を助けるうえで有効に機能するが、生物や地質については、歴史を教えることが効果的な方法とは考えられなかった。 研究開始後3年目に個別科学史とは別に理系向け共通科目「科学史」に注目し、大正期までさかのぼって、その歴史的経過を調べた。個別科学史ではなく科学全体を見渡した歴史、それも、文系向け一般教育ではなく理系向けとして設定された講義は2,3件あったが、受講対象の違いを意識した講義内容かどうかまでは不明である。しかし、個別科学史の状況等と考え合わせて、科学的な考え方とは何かを、理系学生はどこまで深めておかなくてはならないかが、この枠の講義を構成する重要な論点であるという見解を得た。
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Remarks |
数学史にかかわる科研の成果で、出版前に多くの方の意見をとりいれたいものを公表する。
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Research Products
(8 results)