2013 Fiscal Year Research-status Report
秦簡『数』など秦漢期の古算書および『九章算術』の数学史における位置付けの研究
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24501252
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
田村 誠 大阪産業大学, 教養部, 教授 (40309175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 俊隆 大阪産業大学, 教養部, 教授 (00185208)
張替 俊夫 大阪産業大学, 教養部, 教授 (50309176)
角谷 常子 奈良大学, 文学部, 教授 (00280032)
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Keywords | 国際情報交換 / 国際研究者交流 / 中国:アメリカ:フランス:イギリス / 中国古算書 / 『九章算術』 / 岳麓書院蔵秦簡『数』 / 張家山漢簡『算数書』 / 数学史 |
Research Abstract |
岳麓書院蔵秦簡『数』については、24年度に引き続き、月2回の中国古算書研究会において研究を推し進め、その訳注を8月までに終了した。 その成果について、論文では「岳麓書院蔵秦簡『数』訳注稿」として前年度分2編を含め通算で6編(内1編は掲載予定)、それ以外に3編を発表した。大阪産業大学論集に発表した8編については、順次中国語への翻訳を進めており、これまで「岳麓書院蔵秦簡『数』訳注稿」では(3)までを中国武漢大学のプレプリントアーカイブ「簡帛網」に発表した。また田村・張替の論文「岳麓書院『数』衰分類未解読算題二題の解読」と大川・籾山・張の論文「里耶秦簡中の刻歯簡と『数』中の未解読簡」を翻訳したものについては、別途中国雑誌に掲載される見込みである。また、学会発表として、田村が7月英国マンチェスター大学での国際医・科学・技術史学会と10月津田塾大学での数学史シンポジウムで講演発表した。 平成25年秋以降は、書籍化に向けて成果をとして取りまとめているが、現在、竹簡の配列問題が難題で、やや時間を要しているところである。平成26年1月より書籍内で使用する写真の版権交渉を行い、これを3月に本科研費により40万円で購入した。 『九章算術』については、平成25年秋以降に研究を再開し、平成25年度末に第5巻方田章の読解を終えた。現在、論文として準備中である。 またその他に、近年発見された北京大学蔵秦簡について、先方の準備が整い、平成25年11月にようやく現地調査が行うことができた。同秦簡中の算題簡のおおよその内容を把握することができ、九九表に残る謎も新たに認識された。後者については、平成26年年初に発表された精華大学蔵秦簡の中により大きな算表が見られ、それとの関連も今後の検討材料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、平成24年度に引き続き平成25年度前半も『数』の研究に専念し、8月には全文の検討を終えることができた。書籍化に向けてとりまとめ中であり、、平成26年年初に同書中で用いる写真図版の版権を購入することができ、平成26年度中には原稿が完成する見込みである。 平成25年9月より『九章算術』の訳注作業を再開し、年度末には第5章商功章の読解を終えた。残り4章についても、研究期間残りの2年で終える見込みである。やや遅れがあるとすれば、研究期間内の書籍化が難しくなってきたということはある。しかしながら、当初予定通り『数』の読解を1年半で終えたこと、関連する北京大学蔵秦簡が出現し、その調査にも時間をかけたことを考えれば、研究目的の第一であった『九章算術』の訳注作業はまずまず順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
岳麓書院蔵秦簡『数』の書籍化に向けて、おおむね月1回の編集会議を中国古算書研究会内で開き、その準備を平成26年度中に終える。 『九章算術』については、中国古算書研究会を月1~2回のペースで開き、訳注作業を推し進める。第6巻以降は宋代の版本が無いという困難はあるが、平成26年度では第6巻均輸章、第7巻盈不足章の訳注を終えたい。 さらに北京大学蔵秦簡について、平成25年度の現地調査を踏まえ、また平成26年度年初に発表された精華大学蔵秦簡の資料も参考に、検討を行いたい。現地調査の際には整理責任者の韓魏氏と、同氏の論文についての討論を行ったが、まずはその内容の再検討から始めたい。 これについては、夏休み期間などを利用しある程度集中的に行うことになると思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、田村の海外旅費(英国)と田村・大川の海外旅費(中国)があり、不足が見込まれたので、30万円の繰り上げ請求を行った。前年度の繰り越し分もあり、年度末で20万円弱が残った。 しかし、『数』図版の版権料の交渉が年度末にまとまり、版権料が40万円と、残額では不足する事態となった。そこで、ひとまず立替払いで契約を終え、平成26年度研究費と合わせて版権料に充てることとした。したがって、実際には平成25年度研究費は不足していたが、平成26年度分と合わせて使用するため、次年度使用額が生じている。 上記理由で述べたとおり、基金化の恩恵で残しておいた平成25年度研究費は、平成26年度分と合わせて『数』図版の版権料に充当する。
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Research Products
(10 results)