2014 Fiscal Year Research-status Report
震災復興に向けた自然環境利用型博物館教育システムの構築
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24501270
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
朝日田 卓 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (00296427)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 博物館教育 / 教科単元 / 教育普及活動 / 被災地の文化財 / 自然博物館 / 干潟再生 / 被災地の環境修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習プログラムの土台となる自然環境の調査は、従来の波打ち際および河川におけるものの他、昨年度に選定した海の学習プログラム試験運用場所である陸前高田市の小友浦干拓地跡において環境と生物に関する基礎的な調査を行った。小友浦干拓地は、大津波による干拓堤防の破壊と地盤沈下により半分程度が浸水域になった場所であり、陸前高田市が1/3程度を干潟に再生する計画を立案中である。調査の結果、この浸水域には震災後多くの水生生物が加入し生息するようになっていることが明らかとなり、自然環境を利用した博物館教育プログラムの運用場所として適していると判断された。また、この場所でのプログラム運用は、市が計画している干潟再生事業と連携させることによって、復興に貢献しながら学習できるという市民にとっての力強い動機づけにもなる。さらに、水生生物以外にも天然記念物や絶滅危惧種の鳥類など幅広い学習が可能となる資源を確認し、それを基にした学習プログラムの改良を行った。 自然環境利用型学習プログラムの試験運用は、今年度も大船渡市の被災小学校の協力を受けて川の生き物観察プログラムを実施した。また陸前高田市立博物館の教育普及事業として、化石発掘観察のプログラムを実施した他、NPOの活動の一環として海での学習会を宮城県気仙沼市で行い、プログラムの有用性について検討した。 開発した自然環境利用型博物館教育プログラムのうち10個をモデルプログラムとして選定し、ガイドブック(パンフレット)を作成した。ガイドブックは、学習プログラムの活用方法を5段階に分けて案内し、プログラムの選択や準備からまとめと発信にいたるまでを具体的に示したページと、活動内容を記したモデルプログラム、活動に必要な教材を貸出用にキット化したものの案内などから構成されており、三陸の自然と文化について理解しながらの学習に役立つようになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自然環境利用型博物館教育プログラムのガイドブック(パンフレット)を数百部程度印刷し、被災地を中心とした小中学校等に配布する予定であったが、復興工事などに伴い被災地の自然環境や文化財の状況が変化し続けていることから、モデルプログラムの内容を博物館と協議ながら被災地の実情に合わせて改良した。そのため印刷が遅れており、補助事業期間の延長を願い出て承認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
自然環境利用型博物館教育プログラムのガイドブック(パンフレット)を印刷し、被災地を中心とした小中学校等に配布する。また従来の協力校における活用事例を紹介し、多くの学校等で活用してもらえるように情報を発信する。さらには、次のテーマとなる学習指導者支援につながるようプログラム内容を精査する。
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Causes of Carryover |
自然環境利用型博物館教育プログラムのガイドブック(パンフレット)を印刷し、被災地を中心とした小中学校等に配布する予定であったが、被災地の自然環境や文化財等の状況が復興工事等により変化を続けているため、博物館と協議の上実情に即した内容に変更した。そのため年度内に印刷ができず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
自然環境利用型博物館教育プログラムのガイドブック(パンフレット)印刷費および配布にかかる経費等に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)