2012 Fiscal Year Research-status Report
新学芸員養成課程に対応するユニバーシティ・ミュージアムの方策研究
Project/Area Number |
24501274
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
緒方 泉 九州産業大学, 美術館, 教授 (10572141)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 / 韓国 / 大学博物館情報交換 |
Research Abstract |
本研究は、日本で初めて行うユニバーシティ・ミュージアムに対する経年調査である。3年間の調査研究は①資料収集、予備的考察②アンケート調査③現地悉皆調査④調査内容分析⑤考察・発表の5つの項目から成り立っている。その方法は、平成16年度、17年度に実施した10の調査項目「①博物館基本情報」、「②組織体制」、「③施設の構成」、「④予算」、「⑤展示」、「⑥収蔵品の調査研究、公開」、「⑦外部資金の導入」、「⑧博物館実習」、「⑨社会貢献事業」、「⑩大学博物館が抱える問題について(自由記述)」と比較研究を行うことである。 初年度は、アンケート調査(質問紙、郵送)を行うに当たり、前回調査対象の大学博物館及びこの間に新設された大学博物館の所在確認を行い、平成24年度版大学博物館名簿(大学ホームページで紹介する公開施設である大学博物館は、薬学部必置の植物園を含め284カ所に上った。)を完成させた。 その後主として東日本地域の大学博物館に向けアンケート調査を実施した。回答がなかった館については、直接メールや電話で回答をお願いして、今年度の最終回収率は60%に上った。 ところで、未回答館の関係者と電話で話す中、①郵送でのアンケート調査は書き込みを手書きでするため、どうしても回答拒絶ということが多いのではないだろうか②メール送信だと回答をパソコンで打ち込み、それを添付ファイルで送信できるので、時間的には回答しやすいという意見を聴取した。次年度はメールでアンケートを送信する方法に切り替える方法も考えたい。 大学美術館の活動についてはいくつかの発表機会を持ったが、中でも「ICOM(国際博物館会議)アジア研究集会」(平成24年12月1日、国立歴史民俗博物館で開催)で「アウトリーチ活動は市民そして学生を育てる」という発表を行い、アジアの研究者に日本の大学美術館の活動の一端を紹介する機会となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたアンケート調査については東日本地域の大学博物館の協力を得て概ね順調に進行した。しかし、悉皆調査については2回(東京)にとどまり、またデータ入力が十分に進捗したとは言えない状況もある。 悉皆調査は平成24年度から開始した新学芸員養成課程(従来の12単位から19単位に増加)の運営責任者となったため、各科目の教員との授業内容の調整や教務課が行う受講学生の読み替え科目対応などで、なかなか思うように悉皆調査を計画的に進めることができなかった。 データ入力はアンケート調査回答を期限内郵送受付で十分に収集することができなかったため、未回答館へ電話やメールでの回答を依頼。その時間が思いのほかかかってしまった。そのため、入力作業の開始が遅れてしまう事態に至った。しかし、アンケート回収率は60%に上ったことから、経年比較調査に当たっては有効なデータを収集できた初年度であり、おおむね順調に進展していると言っていい。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成25年度は、昨年度作成した平成24年度版大学博物館名簿に従い、西日本地域の大学博物館を調査する。昨年度電話調査で不評だった郵送式のアンケート調査(質問紙)ではなく、メールに質問紙を添付する方式で、各館へお願いする予定である。平成24年度の最終回収率は60%に上ったとはいえ、まだ40%の回答がないので、東日本地域の未回答館に向けても電話で回答をお願いするようにしたい。 また、悉皆調査については、昨年度は新学芸員養成課程が始まったばかりで、さまざまな制約があり十分な成果をあげることができなかった。しかし今年度は計画的に予定を組むことで悉皆調査の数を増やすことに努めたい。 さらに、最終年度は大学博物館シンポジウムを計画しているので、悉皆調査を基にシンポジストの人選にも着手する計画である。 その他、最終年度に計画する「ユニバーシティ・ミュージアム総覧Vol.2」のレイアウト検討も併せて行いたい。 なお、平成25年10月25日、26日には研究代表者が所属する九州産業大学を会場に、全国大学博物館学課程協議会西日本部会大会が開催されるので、参加大学関係者に研究進捗状況を説明するとともに、協力を呼びかけるようにしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度悉皆調査については、公務の都合で充分な予算執行ができなかった。 次年度については、上記11で述べたように悉皆調査を計画的に進めることが重要であると認識している。昨年度とは異なり、より計画的な悉皆調査計画のもと、先進的な事例を重ねる全国の大学博物館を訪問するようにしたい。 また回収したアンケートのデータ入力については、悉皆調査先を決める重要な資料であるので、入力スピードをあげるためにアルバイト人数を増加させる計画である。
|