2012 Fiscal Year Research-status Report
博物館における海洋環境変動の影響把握に寄与するダイバー撮影画像の情報化
Project/Area Number |
24501278
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
瀬能 宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 専門学芸員 (80202141)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 画像データベース / 死滅回遊魚 / 環境変動 / 生物地理 / 魚類相 |
Research Abstract |
過去に蓄積されたすべての画像データに基づき、モニタリング対象となる魚種を抽出するために参考となる相模湾内の地点別魚類相を検討した結果、城ヶ崎海岸と伊豆大島の2地点と、その他の沿岸各地点との間に大きなギャップがあることが判明した。このギャップは熱帯・亜熱帯性魚類の低温致死限界に近い15℃(2月)の等温線に一致していた。この成果は生物地理学会報に論文として公表した。一方、伊豆半島の西岸に位置する駿河湾に面した黄金崎において、ダイバーからの画像情報に基づき熱帯・亜熱帯性のイソギンポ科魚類の複数種やハナダイ亜科のスミレナガハナダイ等が越冬している可能性が高いことが判明した。これら越冬種は黄金崎よりもやや北に位置する大瀬崎においては出現あるいは越冬が確認されていない。これらの分析結果や予備的情報から、伊豆半島の駿河湾沿岸では黄金崎、相模湾沿岸では城ヶ崎海岸に死滅回遊魚が越冬可能な最前線があることが強く示唆された。今後、これらの地点とその近隣からの情報を重点的に収集することが、死滅回遊魚の出現パターンから環境変動をとらえるための鍵となるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイバーから収集した画像をデータベース化するための画像入力ステーションを設置し、オペレーター1人を雇用してデータベース化を推進した。これによりデーベース化された画像は約2600点にのぼる。この中には環境変動をとらえるために重要な冬季から春季にかけての魚類画像が含まれる。加えて、伊豆海洋公園魚類標本コレクションを整理し、2786件の情報をデータベース化した。また、関連する益田一写真コレクション19500件を画像データベース化を行った。これら2つのコレクションには、1970年代から1990年代にかけて相模湾で収集された死滅回遊魚の情報を多数含む。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイバーが撮影した画像の収集と平行して博物館所蔵標本や文献の調査を継続する。データベース化された情報に基づき、環境変動をモニタリングするのに最適な魚種を抽出する。本プロジェクトに理解を示し、協力が得られる伊豆半島沿岸のダイビングショップやダイバーとのネットワーク化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)