2013 Fiscal Year Research-status Report
東北地方太平洋沖地震に誘発された内陸活断層地震の地形学的・古地震学的研究
Project/Area Number |
24501289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 浩之 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60284428)
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Keywords | 2011年3月東北地方太平洋沖地震 / 2011年4月福島県浜通りの地震 / 正断層 / 地震断層 / トレンチ掘削調査 / 断層変位地形 / 地中レーダー探査 |
Research Abstract |
研究対象地域全域の空中写真を判読し,4条の主要な北西―南東走向の断層(北から二ツ箭断層・赤井断層・湯ノ岳断層・井戸沢断層)に沿って,第四紀後期の活動を示唆する変位地形を認定した.2013年度は,二ツ箭断層と赤井断層に焦点を絞り,詳細な空中写真判読・地表踏査・地中レーダー探査を行った.二ツ箭断層に沿っては山地斜面の傾斜変換線や鞍部列が線状に並び,河谷の系統的な左屈曲が確認される.また最終間氷期に形成されたと考えられる河成段丘面を変位させている副次的な断層も見られ,二ツ箭断層は第四紀後期にも活動している活断層である可能性が高い.地表踏査では,多くの地点で基盤岩と中新統の堆積岩を境する正断層露頭が確認された.また段丘面の編年のために,段丘構成層を被覆する土壌層から火山灰分析用の試料を採取した.さらに,二ツ箭断層の中部と東部において,段丘面が変位していると考えられる箇所の地中レーダー探査を行い,地下の堆積層の構造を解析し,今後のトレンチ掘削・ボーリング調査の候補地の検討を行った. 2011年4月の福島県浜通りの地震の発生以来行ってきた地震断層調査や断層変位地形調査,および2011年9月に行った掛橋地区のトレンチ掘削調査については,本科研費で行った補完的な調査結果も含めて,Bulletin of the Seismological Society of America誌にて公表した(Toda and Tsutsumi, 2013).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象地域の空中写真判読により,4条の主要な断層(北から二ツ箭断層・赤井断層・湯ノ岳断層・井戸沢断層)を調査対象として選定した.このうち,2011年4月の福島県浜通りの地震の際に,湯ノ岳断層と井戸沢断層に沿って出現した地震断層の調査結果と井戸沢断層の中部で行ったトレンチ掘削調査結果については,すでに2編の論文として公表した.また2012年度に井戸沢断層の北端部で行ったトレンチ調査でも,井戸沢断層が比較的長い活動間隔(数万年のオーダー)を持つことが明らかとなった.このように,井戸沢断層や湯ノ岳断層については,その性状や活動履歴に関するデータを着実に収集できた. 二ツ箭断層と赤井断層については,断層トレースのほぼ全域の野外踏査を行い,断層変位地形や断層露頭を多くの地点で確認できた.また断層が第四紀後期の河成段丘面を変位させている2地点で,地中レーダーを使った地下構造探査を行った. 本来は,2013年度中に二ツ箭断層のボーリング調査やトレンチ掘削調査を行い,第四紀後期の活動の有無や活動履歴を検討する予定であった.しかし,震災から復興事業等で,年度の後半にボーリング業者や掘削業者が確保できない事態となり,これらの調査を延期せざるを得なかった.これらの調査は,2014年度のなるべく早い時期に行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は,二ツ箭断層と赤井断層の断層変位地形の補完調査を行い,また第四紀後期の活動性の有無を調べるために,トレンチ掘削調査・ボーリング調査を行う.また変位基準となる段丘面の編年のために,被覆層の火山灰分析を行う.研究対象地域に特異的に正断層が分布する地質学的背景を考察するために,海成段丘の分布高度や海域も含めた広域の地質構造に関する既存データの収集と解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
活断層の活動履歴の解明のために,トレンチ掘削調査およびボーリング調査を行う予定であった.しかし,震災からの復興事業等で,調査地域周辺では年度の後半にボーリング業者や掘削業者が確保できない事態となり,これらの調査を延期せざるを得なくなった.そのため,次年度使用額が生じた. 掘削候補地は既に選定してあるので,年度末の公共工事等で掘削業者の確保が困難になる前に掘削調査を行う予定である.
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Research Products
(1 results)