2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山田 周二 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80295469)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 防災 / 地理教育 |
Research Abstract |
本研究は,水害の危険性が高い場所を,土地利用や身近にみられる事象から知ることができるか否か,できるとすると,いつの土地利用やどのような事象から知ることができるか,をあきらかにすることを目的として,当該年度においては,奈良盆地において,過去に発生した河川の氾濫によって浸水した範囲とそこでの土地利用の変化を調査した.浸水範囲は,大和川流域総合治水対策協議会によって作成された,大和川流域浸水実績図を基に,1982年,1995年,1999年,2007年にそれぞれ発生した河川の氾濫による浸水範囲をGISソフトウェアを用いてデジタル化した.土地利用は,1922年,1967年,2001年に作成された,国土地理院発行の2万5千分の1地形図を基に,それぞれの年次についてデジタル化した.それらのデータから,浸水範囲の土地利用の面積割合を,それぞれの年次について求めた.その結果,浸水範囲の88%が1922年の田であり,最近30年間で複数回浸水した範囲の94%が田であったことから,奈良盆地では,1922年の地形図を見て,田でなかったところであれば,安全な場所である可能性が高いことがあきらかになった.しかし,地域差はあり,田以外はほぼ安全な地域もあれば,多くはないものの,浸水範囲でも1922年に市街地が広がっていた地域もある.自然堤防などの微高地や台地が多くみられる地域では,それらのような水害から安全な地形に市街地は立地していたが,そうでない地域に古くから駅がある場合などは,河川の氾濫によって浸水する範囲にも市街地が立地していた.このため,地域の地形や社会環境によっては土地利用から安全な場所を知ることができない場合もあることがあきらかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては,当初の予定通り,奈良盆地における浸水範囲と土地利用とをデジタル化して,それらの関係を分析することができた.地理情報システムと高速なパーソナルコンピューターとを組み合わせることで,これらの作業と分析を順調に行うことができた,
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を進めるにあたって,次の二つに焦点をあてる.一つは,奈良盆地内の浸水範囲外の土地利用とその変化をあきらかにすることである.浸水範囲の土地利用は.当該年度の研究によってあきらかにすることができたが,より詳細な分析を行い,自然災害から安全な土地利用を抽出するためには,浸水範囲外の土地利用も知る必要がある.二つ目は,身近な事象を野外で調査することである.身近な事象を基に安全な地域を知ることができるような教材を作成するためには,身近な事象を野外で調査して,その分布と浸水範囲や土地利用との関係を分析する必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に,野外調査にかかわる経費に研究費を使用する.野外で地理情報を収集するためのソフトウェアとハードウェア双方について,急激な進歩が近年みられるため,それらを使用することによって,効率的な野外調査を行う.
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