2012 Fiscal Year Research-status Report
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24501291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鹿島 薫 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90192533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / フィンランド:エジプト:英国 / 湖沼堆積物 / 第四紀 / 年縞ラミナ / 気候変動 / 地球環境 |
Research Abstract |
(1)年縞ラミナを伴う湖沼堆積物の採取と既存ボーリングコア試料の収集整理 浜名湖(沿岸性汽水湖沼)および北海道東部の汽水湖沼群において試料を採取する。(既存コア)本研究を着想して以来、日本各地および世界各地の年縞を伴う湖沼堆積物の収集を進めてきた。現在までにエジプト・カルーン湖(内陸塩性湖)、バリ島ブヤン湖(火口湖)の海外試料と、網走湖(沿岸性汽水湖沼)および釧路市春採湖(年縞中に津波堆積物を挟む)において既存ボーリング試料を収集保管し、あわせてデータベースの作成を進めた。 (2)薄片の作成は、ラミナに対して垂直方向および水平方向で作成する。作成に際しては、フィンランド・トゥルク大学ティモ・サーリネン教授が開発した脱水・樹脂封入方法を導入する。このために、フィンランド・トゥルク大学に渡航した。 (3)年縞を用いた気候変動の周期性の解明; 珪藻群集の特徴から、年縞の明暗と年々の堆積構造には、少なくとも2 種類(2サイクルの縞状構造で1 年の湖沼と、1 サイクルの縞状構造で1 年の湖沼)あることが推定された。さらに同一の湖沼においても、その環境変動の結果、この2 種類の年縞が入れ替わることが確認されている(エジプト・カルーン湖;鹿島未公表資料)。そこで、単に色調の明暗変動をみるのではなく、年縞の薄片を顕微鏡下で判読しながら、気候変動の周期とその実態の解明を行った。 (4)洪水堆積物、津波堆積物の判読と、その発生年代、季節などの判定; 年縞の薄片を用い、年縞堆積物中に夾在する洪水堆積物および津波堆積物の判定を行う。その際、年縞の特性を利用して、発生年代とその周期、さらに発生季節の特定を行う。これによって、従来明らかにできなかった大規模洪水、巨大津波の周期とメカニズムの解明を行うことができることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では湖沼堆積物に形成される年縞を用い、古環境の高精度復元を行い、気候変動や自然災害の予測に応用するため、以下の点に目的を絞り込んで研究を進めることを予定していた。 (1)気候変動の周期性の解明と、地球規模の気候変動の将来予測への応用 (2)洪水頻度の復元と、治水計画・地域防災への応用(3) 大規模津波の年代および規模の特定と、沿岸域の地震津波対策への応用このうち、(1)についてはそれぞれの湖沼の特性をふまえ、1 年の堆積ユニットかを充分に吟味しながら、顕微鏡レベルでのラミナ構造の観察に基づき、古環境変動とそれをもたらした気候要素の変動を考察してゆく。日本周辺のみならず、極域、乾燥域における試料も用い、地球規模の気候変動について検討までを目的に加える。(2)と(3)は、年縞堆積物中に夾在するイベント堆積物を判読するものである。年縞と組み合わせることによって、災害周期を正確に読み取ることを可能とする。 24年度は(1)については目標以上の成果を得ることができた。(2)および(3)については、研究作業は進んでいるが、研究成果の公表には至ることができなかった。しかし、すでに学術論文としての公表作業を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の(研究を継続する。ただし、以下の点が追加される。 湖沼堆積物の採取 およびセディメントトラップの設置。年縞が現在形成されている湖沼にセディメントトラップを設置する。これによって、湖沼における。珪藻およびその他の沈降粒子の季節的な変動を観測する。調査湖沼としては、春採湖および浜名湖を予定している。な おセディメントトラップは、九州大学大学院理学研究院所蔵の海洋調査用機器を参考にしながら、より簡便化したものを独自に作成する。 ラミナ薄片の作成とその顕微鏡観察および計測結果の自動化・効率化のための、顕微鏡と連結したソフトウエアの開発を行う。 気候変動の周期性および洪水堆積物、津波堆積物の年縞の判読によって明らかとなった気候変動および災害事変について、周辺の地形調査および歴史資料などとの対比検討を行う。上記の研究によって、本研究の成果から今後の気候変動対策と防災対策のための基礎的なデータを提示するという研究目標を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の国際学術調査実施する。 4月フィンランドにおける年縞ラミナ堆積物を伴う掘削調査を実施する。5月KIGAM(韓国地質資源研究院)と防災予測に関する共同研究を実施する。7月モンゴルにおける湖沼掘削調査の実施。9月トルコにおける湖沼堆積物掘削調査の実施。11月エジプトにおける湖沼掘削調査の実施。 国内では、目潟(秋田県)、甑島(鹿児島県)で野外調査を実施する。 成果公表として、AGU(12月サンフランシスコ)および韓国KIGAM(5月)で講演を行う。
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[Journal Article] Holocene sedimentary records from Lake Borsog, eastern shore of Lake Khuvsgul, Mongolia, and their paleoenvironmental implications2013
Author(s)
A. Orkhonselenge, 1, S.K. Krivonogov, c, , , K. Mino, K. Kashiwaya, I.Y. Safonova, c, M. Yamamoto, K. Kashima, T. Nakamura, J.Y. Kim
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Journal Title
Quaternary International
Volume: 290-291
Pages: 95-110
DOI
Peer Reviewed
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