2013 Fiscal Year Research-status Report
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24501291
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鹿島 薫 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90192533)
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Keywords | 年縞 / 湖沼 / 第四紀 / 気候変動 / 国際研究者交流 フィンランド / 国際情報交換 フィンランド / 珪藻 / 薄片 |
Research Abstract |
年縞は土の年輪と表現されるミリスケールの年層ラミナからなる湖成または海成泥質堆積物である 。年縞には 有機質(あるいは生物質)年縞、石灰質年縞、砕屑質年縞、鉄質年縞の 4種類あり それぞれ水域の地理的 水理特性の違いを反映して形成されている。この年縞が堆積している場合 その水域および周辺地域において 極めて精徽な環境史を構築できる。25年度は、年縞研究においては世界最先端であるフィンランドにおいて、その研究技法と、収蔵されている豊富な資試料を用いて研究を行うことができた。具体的には、25年4月および2-3月に、延べ4名がフィンランド・トゥルク大学に滞在し研究を進めた。国内では、一ノ目潟において掘削調査と湖沼観測を行った。また、北海道東部春採湖における年縞の解析を行った。 具体的な研究手法としては、堆積物切片の観察による年縞の認定(樹脂埋包によって年縞堆積物を固化させたものから堆積物薄片を作製して,それらを顕微鏡下観察によって,ラミナの年縞認定をおこなう)。 堆積構造解析や機器分析による年縞計数(人為的ミスを少なくする年縞計数の精度を向上させるため,少なくとも3本の測線で年縞の数と厚さを複数回計測する方法が取り入れる)を行う。これと並行して,コア試料の非破壊化学組成分析から得られた値のピークカウントや 14C年代測定・Pb-210/Cs-137年代測定など他の年代測定による年代値のクロスチェックを行って編年の精度を向上させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フィンランド・トゥルク大学において、年縞の研究では世界最先端の研究設備と、世界一豊富な資試料を用いた研究活動を行うことができた。交流は研究室単位の交流となっており、九州大学からの渡航は、この3年間でのべ7人、のべ13か月におよぶ。トゥルク大学からの九州大学訪問は20人(短期滞在)、1名(長期滞在)である。 フィンランドは大学学費が公的負担のため、開発途上国のみならずEU諸国内から多くの留学生が在籍している。そのため、英語による研究教育がなされており、フィンランド語は簡単な日常会話を習得するだけで、研究活動を支障なく勧めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トゥルク大学理学部における年縞ラミナ研究。この間には、以下の研究を行う。26年の調査で採取した年縞の堆積構造、粒度、微化石~昆虫化石の分類、化学分析を行う。滞在期間中にトゥルク大学における大学院集中講義および実習を実施する。 トゥルク大学の施設(KEVO極域研究所など)を利用して、年縞の採取を行う。トゥルク大学理学部スタッフと共同で行う。 国内では、一ノ目潟において、水質と堆積物の継続的な観測、採取を行う
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に計画していたフィンランド調査のうち、その一部が4月実施となった。そのため、旅費の一部が次年度繰り越しとなった。 4月に実施する現地調査と、それに伴う分析経費に使用する。さらに、トルコにおける調査研究に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)