土砂災害危険区域における高齢者の分布と想定最大被害額の推定に関する研究

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 24501294
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 中山 大地 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (90336511)
• Project Period (FY): 2012-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: 自然災害 / 土砂災害 / 災害の被害予測 / 人口分布 / 高齢者 / 災害弱者

Outline of Annual Research Achievements

本研究では，土砂災害危険箇所のうちの急傾斜地崩壊危険箇所に関するGISデータなどを用いて，各箇所の社会経済的指標に基づく危険度を定量的に評価した．具体的には，急傾斜地における危険度の一指標として各箇所の推定人口を求めた．研究対象地域は，市内に急傾斜地が数多く分布する神奈川県鎌倉市などを対象とした．人口の推定にあたっては，国勢調査人口データと基盤地図情報の建物の外周線データを使用し，建物分布を考慮した人口推定に関する新たな手法を開発した．
新たに開発した人口推定手法の妥当性について，国勢調査3次メッシュ人口データと国勢調査の基本単位区集計データをを用いて検証した．また，本研究で提案した人口推定手法と人口推定に関する研究で従来から用いられてきた面積按分法による結果との比較も行った．
(1)各急傾斜地の人口を比較すると，面積按分法と本研究で提案した手法の間には，人口分布に差がみられた．特に市街地に属する急傾斜地と非市街地に属する急傾斜地に分けた場合，手法ごとの人口推定結果について統計的に有意な差が見られた．
(2)建物の分布を考慮した人口推定手法においては，急傾斜地上の建物密度を反映した人口分布となった．
本研究を通して，建物データを用いた急傾斜地崩壊危険箇所の人口推定手法の妥当性を示すことができた．また，その手法から得られる結果は，従来の面積按分法から得られる結果よりも，現実の人口分布を反映したものであることがわかった．