2013 Fiscal Year Research-status Report
19世紀以前の東南・東アジア気象観測記録と日本の歴史天候記録による気候変動の解明
Project/Area Number |
24501297
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50534054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 岳彦 帝京大学, 文学部, 教授 (10114662)
赤坂 郁美 専修大学, 文学部, 講師 (40574140)
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Keywords | 気候変動 / 古気候復元 / 歴史天候記録 / 東南アジア / 東アジア / 日本 |
Research Abstract |
1. 昨年度デジタル化と補正均質化を行った幕末期の函館における気温データについて,函館地方気象台の気温と比較したところ,幕末期当時は暖候期の低温と寒候期の高温傾向がみられた.その要因として,幕末期の観測地点が,現在より海洋性の性質を示すことから,海風の影響を受けやすかったと考えられる.また,幕末期の年平均気温は,函館の最近30 年間の平年値よりも約2.0℃低く,その寒冷な傾向は幕末期から20 世紀初頭まで継続していたことが明らかとなった. 2.山形県において、歴史時代から観測時代まで連続的に得られる古日記天候記録をもとに1830年代以降の7月の気温変動を復元した。復元結果からは、1830年代、1860年代、および1900年代に寒冷な期間が認められ、これらの時期が東北地方における飢饉発生期と時期的にほぼ対応していることが分かった。一方、1850年代前半と、1870年代後半~1880年代は現在の気温平年値と比べて温暖であり、特に、1850年代前半には20世紀後半の猛暑年に匹敵する温暖な年が出現していたことが推定された。 3.古日記天候記録から18世紀以降の夏季気温変動を復元することを目的として、東京周辺における古日記天候記録の収集と分析を行った。気象観測データと古日記天候記録が重複する期間において、日記に記された7月の晴天日数と気温との対応関係について検討した結果、晴天日数と気温との間に強い正相関が認められ、晴天日数から気温変動を復元できることが判明した。また、近接地域で記された複数の天候記録間で7月の晴天日数の変動を比較した結果、異なる日記間で晴天日数の変動に強い相関が認められた。 4.フィリピンの日降水量データ(1883年7月~1888年12月)をグラフの画像から読み取り,デジタル化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに収集しデジタル化した,19世紀の気象観測データおよび天候記録から復元した19世紀以降の気候の解析が順調に進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
1.デジタル化が完了している気象観測データおよび古日記の天候記録データを,Japan Climate Data Programウェブサイトにて公開する. 2.デジタル化が完了した日本の全地点のデータをもとに,Japan Temperature Seriesの再計算を実施する. 3.18世紀にまでさかのぼって,古日記天候記録から夏季の気温変動を復元する. 4.19世紀末からの降水量データを使って,マニラにおける雨季入り時期の変動や降水特 性の変化を解析する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入と旅費が,予定していた金額より安価で実施することができたため. 当該課題は最終年度のため,研究成果をまとめるための物品購入(プリンタートナーなど)に使用する予定である.
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Research Products
(20 results)