2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24501299
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
鳴海 邦匡 甲南大学, 文学部, 教授 (00420414)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 古地図 / 海図 / 東アジア / アメリカ議会図書館 / 測量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主な目的は、近世日本の測量と地図の展開をみるために、近世の日本における実測図の展開と近代以降におけるそのつながりを検討することであった。具体的には、①近世における盤針術(磁石を用いた測量)の展開、②近世における三角法による測量(三角関数を活用した測量と製図)の展開、③近代測量にみる近世測量の影響の3つのテーマを設定して研究を進めることとした。 今回、最も大きな成果となったのは①②に関するテーマである。ここで特に注目したテーマは、19世紀前半期を中心とした東アジア海域における海図の作成プロセスである。この一帯におけるこの時期の海図の整備状況は不完全な状態であり、英、仏、米、露などの西洋列強によって海図が整備されていく状況にあった。そのプロセスには、近世の日本側で作成された日本図も影響を及ぼしており、伊能図の例は比較的よく知られている。ただし、それも日本を中心とした視点で認識されたものであり、正しいものとは言えない。 これらの過程を正しく理解するためには、東アジア海域全体の海図作成動向を見ていく必要があり、そのため関係資料の調査をアメリカ議会図書館およびアメリカ国立公文書館で実施した。今回の調査によって、当該地域において作成された海図の概要を理解することができ、主にイギリスと日本によって作成された海図のリストをまとめることができた。特に近代日本初期の海図の全容はこれまで殆ど検討されたことがなかったからである。こうした調査の結果、これらの海図は相互に影響しながら作成されていること、通商や外交、戦争の実施を契機に整備が進んでいくことなどが明らかとなってきた。 また、②のテーマに関して、研究成果を地域に還元するためモバイル型PCによる閲覧ソフトの公開を実施した(鳥取こちずぶらり)。
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