2014 Fiscal Year Annual Research Report
国有林史料を活用した実態的定量的分析による多様な森林景観形成過程の解明
Project/Area Number |
24501300
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
宮本 麻子 独立行政法人森林総合研究所, 企画部, 室長 (50353876)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 森林計画 / 地理情報システム / 森林景観 / 森林情報 / 森林利用 / 林相図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は国有林の森林計画書や付帯林相図等の国有林史料を活用して森林景観形成過程を実態的定量的に明らかにすることを目的としている。これまで、1).国立公文書館及び関東森林管理局から収集した旧森林計画書及び付帯林相図から森林景観情報を整理し、GISデータとして整備、2).森林計画書から景観に関わる記述事項の把握、当該地での具体的な施業方法、森林利用に関わる事項の分析を行った。 本年度は、国有林史料から得られる景観情報と旧版地図等から得られる景観情報との比較を行い、国有林史料の景観史研究への有用性を検討した。天然ブナ林地域を対象として①森林計画書及び付帯林相図、②旧版地図、からそれぞれ景観を復元した結果、両資料からともに林相情報が得られるが、国有林史料は樹種・林齢などのより詳細な森林情報が得られること、さらに人間の森林利用や具体的な施業方法など景観を形成するに至った社会・経済に関する情報が記載されていることに大きな利点があると考えられた。一方で、森林計画に記載の林齢情報には、択伐林分については特殊な計算方法があること、天然林には最高林齢が設定されていることがわかり、これらの特徴を踏まえた上で林齢情報を利用する必要があると考えられた。また、択伐、皆伐、林種転換、不成績造林地などの多様な施業履歴を持つ林分を空中写真上で確認したところ、写真からは同様の林相に見える林分であっても森林計画史料の分析から異なる履歴を持つ林分であることが確認できた。これらのことから、国有林史料は景観史研究に用いる基礎資料として従来良く用いられてきた旧版地図や空中写真を補完する有用な資料となりうると考えられた。得られた成果についてはとりまとめて国内外の関連学会で報告した。
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