2014 Fiscal Year Annual Research Report
立山弥陀ヶ原湿原の土壌形成に対する黄砂の寄与とアジアの砂漠化の推移
Project/Area Number |
24501301
|
Research Institution | TOYAMA SCIENCE MUSEUM |
Principal Investigator |
朴木 英治 富山市科学博物館, その他部局等, 専門官 (10373482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 幸一 富山県立大学, 工学部, 教授 (70352789)
堀川 恵司 富山大学, その他の研究科, 准教授 (40467858)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 泥炭 / 風成塵 / 黄砂 / 花粉分析 / 気候変動 / 立山 |
Outline of Annual Research Achievements |
立山弥陀ヶ原湿原で採取した泥炭試料を4分割し、1/4番目で放射性炭素による年代測定を行った。表層から280mm以深では実際よりも新しい年代が示された可能性があり、堆積年が明らなアカホヤ火山灰の上下層の年代測定を行ったところ、アカホヤ火山灰層の堆積年が報告値よりも1600年新しく分析された。そこで、泥炭の深さ280mmまでの測定年とアカホヤ火山灰層の堆積年を利用して泥炭深さ-堆積年の回帰式を作成した。この式から最下層は11000年前と推定できた。 泥炭試料の2/4番目から直径4mm、長さ2.5mmの計測用連続試料を作成し、無機粒子重量を計測して深さ-堆積年代の関係と照合し、各試料毎に1平方メートル・1年間当たりに堆積した粒子重量を計算した。また、各試料の粒径別個数濃度を計測した結果、ほとんどの試料で粒径10μm以下の粒子個数が全粒子数の95%以上となり、粒径分布パターンも互いに似ており、泥炭中の無機粒子は黄砂が起源ではないかと考えられた。そこで、各試料の中心位置の堆積年と1平方メートル・1年間当たりの無機粒子量を対比させると、11000年前の最終氷期に多く、温暖だった縄文海進期に少なく、4500年ほど前の寒冷期には多くなり、日本の黄砂沈着の特徴である温暖期に少なく寒冷期に多いという現象と合致していた。また、19世紀後半にも粒子堆積量が増加し、この頃も寒冷化したとの報告にも合致していた。さらに、泥炭試料の3/4番目を使用して花粉分析を行い、モダンアナログ法で過去の気温変化を検討した結果、寒冷期に立山でも気温が低下した可能性や19世紀後半も気温が低下した可能性があることが分かった。 降水・霧水、草地表面を模した代理表面降水観測を継続して行い、降水観測では特定の標高で粒子の懸濁濃度が高まる事例が2014年にも観測された。霧水中の粒子数は降水の10倍程度も存在することが分かった。
|