2012 Fiscal Year Annual Research Report
癌微小環境におけるT細胞を介した炎症制御機構の解明
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24501302
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇田 大功 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (30555404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 秀光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (40360531)
佐藤 崇之 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任助教 (00597924)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | IL-17 / γδT細胞 / 慢性炎症 / 発癌 / 遺伝的背景 |
Research Abstract |
慢性炎症の発がんへの関与については、自然免疫系の細胞群を中心に解析が進められ、炎症性発がんの促進に寄与していることが証明されてきている。一方、申請者らは、T細胞を介した炎症の遷延化ががん発生の一翼を担う新たな結果を得ている。本研究では、T細胞による発がん促進炎症応答の制御機構を解明するため、申請者が独自に確立した慢性炎症を伴う発がんマウスモデルを用い、マウス生体内評価を主軸とした研究を実施した。 われわれは、これまでの検討により、腫瘍局所に浸潤するγδT細胞がIL-17を産生し、血管新生の促進を介した腫瘍増殖促進に重要な役割を果たすことを示している。また、独自に開発したメチルコラントレン(MCA)の皮内接種による皮膚上皮癌の発癌モデルを用い、BALB/c(B/c)、C57BL6(B6)において、B/cマウスの方が有意に上皮癌発生率が高く、遺伝的背景による発癌感受性の相違を見いだしている。そこで、B/c、B6マウスにおける発癌過程の炎症応答に焦点を当て、組織学的、免疫学的解析を行った。MCAを皮内接種局所では、B6マウスに比較し、B/cマウスにおいて、より長期間、皮膚の肥厚、炎症細胞の浸潤が認められ、慢性炎症像が確認された。さらに、炎症誘導におけるIL-17の関与を検討したところ、B/cマウスにおいてIL-17の発現が高く、特にγδT細胞が主なIL-17産生細胞であることを見、だした。さらに、B/cIL-17ノックアウトマウスでは、上皮癌の発生率が有意に減少することも明らかとしている。 以上より、IL-17産生γδT細胞の誘導には遺伝的背景による影響が大きく、B/cマウスでは、IL-17産生γδT細胞がB6マウスより効率的に誘導されることにより、慢性炎症が惹起され、上皮癌の発生を促進していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)