2013 Fiscal Year Research-status Report
クロマチンリモデリングによる老化と癌の制御機構の解明
Project/Area Number |
24501305
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西山 正章 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50423562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
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Keywords | エピジェネティクス |
Research Abstract |
われわれが機能を発見したCHD8は、SNF2スーパーファミリーに属するATP依存性クロマチンリモデリング因子であり、クロマチン上にリンカーヒストンH1を呼び込むことによってp53機能を抑制する。本研究では、発現誘導型CHD8トランスジェニック(i-CHD8)マウスを用いて、1)CHD8が細胞レベルでの老化に果たす役割の解明、2)CHD8が個体レベルでの老化に果たす役割の解明、3)CHD8発現誘導による癌の発症機序の解明、の3点を目的としている。 われわれは既に、発現誘導型CHD8トランスジェニック(i-CHD8)マウスを作製し、誘導するCHD8のコピー数とプロモーターを変換することにより、CHD8の発現量を調節することに成功した。これらのマウス胎仔から調製した線維芽細胞(MEF)ではp53の転写活性が抑制されており、細胞老化が抑制されることが明らかとなった。またこれらのMEFは単層培養でフォーカスを形成し、強力なトランスフォーム活性を示すことが判明している。 われわれはi-CHD8マウスを卵母細胞特異的Zp3-Creトランスジェニックマウスと交配し、全身で恒常的にCHD8を強制発現したマウスを作製することにも成功した。このマウス由来の組織幹細胞(神経、造血)を体外培養し、その機能(増殖能と分化能)について検討するとともに、組織老化および寿命について詳細な観察を行っている。また培養細胞および正常マウス組織を用いてプロテオームおよびChIP-Seq解析を行い、同定した標的遺伝子候補のバリデーション研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年に当研究所・発生工学実験施設にて感染事故が発生し、マウスの交配が禁止されたため、本研究を遂行するために必要な遺伝子改変マウスの作製が予定より大幅に遅れていた。その後急ピッチでマウスの交配を進めており、遺伝子改変マウスの作製は着実に進行しているが、引き続き世界一を目指して研究に精進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
全身型CHD8トランスジェニックマウスにおける組織幹細胞の細胞老化、組織老化および寿命について詳細に解析する。また各臓器特異的Creトランスジェニックマウスとの交配により、特定臓器(造血、神経、肝、皮膚、腸管上皮など)でCHD8を発現させ同様の観察を行う。それによって、特定臓器の組織老化抑制が全身臓器の組織老化抑制につながり、ひいては寿命の延長につながるかどうかを検討する。またCHD8の発現誘導が、実際に生体内で癌を起こすかどうかを検討するために、作製したi-CHD8マウスの自然発癌または誘発癌(大腸、肺、肝、子宮、脳、皮膚など)の発生率と生命予後について検討する。また老化モデルとして入手、作製したklothoマウス、CHD8コンディショナルノックアウトマウスとi-CHD8マウスを交配させることにより、その発癌率と生命予後がどのように影響されるかを検討する。さらにCHD8の発現調節によって、癌を起こさずに寿命を延長することは可能かどうかについても検討を加える。
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Research Products
(5 results)